秀嶋賢人のはてなブログ

映画監督・NPO法人SocialNetProjectMOVE理事長

さびしい歌が聴きたい

この連休、天気がよかったので、ほぼ毎日のように、筋トレやジョギングやら、ウォーキングやら、やっていたせいか。酒豪編集者Rと打ち合わせするための企画書直しで、キーボードを叩き続けているせいか。かなり回復していた50肩が、また痛み出した。

マッサージの先生には、激しい運動は避けた方がいいといわれながら、腹筋の筋トレやジョギングぐらいならと、ちょいがんばり過ぎたかも。ジョギングやると結構、腕を振る。それがよくなかったみたい。でも、天気よかったし、走ると気持ちいいので、つい、調子に乗って、連ちゃんでやってしまった。やっちゃった昨日の夕方から調子が悪い。

「歩行禅」でも書いているけど、何か、もやもやした気持ちがあるときは、運動をするのに限る。このところ、実は、あれこれ考えることもあり、仕事もたまっており、それを振り切るように運動しすぎたのが、よくなかった。ウォーキングで止めておけば、よかったものを。歳を考えない、愚か者だ。数年前は、扁桃腺が腫れて、だるいのに、だるいのは筋肉が固まっているからだと、千駄ヶ谷プールで1時間以上泳ぎ、40度の熱にうなされたこともある。

そんなおバカなオレが、またやってしまった。それに、オレには、やばい梅雨の前触れに入っている。

10代の終わり、大学浪人のとき、受験に失敗した、失意のオレを見かねたオヤジが、車の免許をとらせてくれた。理由は簡単で、運転免許があれば、いざというときタクシードライバーになれるだろうからというもの。それくらい、オレはどこに飛んでいくかわからないと思われていた。何か、資格らしきものをとらせておかないと、こいつはまともな生活につけないと思われていたのだ。

で、免許を取り、中古車だったが、いまでは幻の名車、スバル1300Gに乗っていた。ある日、妊娠していたアネキを新居のアパートに向かえにいき、高宮にある実家に連れてくる途中、タクシーにオカマを掘られた。そのとき、病院にいけばよかったのだが、人のいいオレは、平身低頭の元チンピラ風ドライバーと、わざわざ家まで詫びにきた、世話になっているという世間慣れした感じの兄ちゃんの姿に、こいつ、なにかやらかして、更正中なんだなと直感した。で、車の修理だけですませてしまった。以来、梅雨の時期、疲れたり、ストレスがあったりすると、体調の加減で、首から肩、背中が固まる。いわゆる、ムチ打ちの後遺症。

そこに50肩が重なった。もともと、梅雨には弱い。子どもの頃からだが、湿気に弱い。この時期になると重いだるさが襲う。四季の変化、変わり目がそのまま体調に出る、わかりやすい自然児。まさに、わが日本国の季節とともに生きる、典型的日本男子(?)。それだけ軟弱なんだけど。

休養すればいいものを、休養できないのは、しかし、オレだけじゃないみたい。

昨日は雨で流れたが、焼鳥Yoshiのオヤジさんは、この時期、神宮球場の野球観戦の客相手の稼ぎどき。その助っ人をやっているYouから、メール。流れちゃいやした、ヒロも一緒に、飲みませんか? もともと天気がよければ、ひやかしにいくつもりだったのだが、雨で、昨夜はさすがに仕事しようと付き合わなかった。でも、オヤジさんやYouは、今日も天気に気をもみながら、出店の準備をしているに違いない。阪神ファンは金を使ってくれるらしい。

もう長い付き合いになる、人形町でデザイン事務所をやってるHさんには、大阪の仕事の見積を出していたのだが、連休明けに連絡があるかと思っていたら、子どもの日の休日の昨日、日時と確定費用の連絡が入る。大好きな娘もいる、家族主義のHさんが、事務所で仕事をしていた。それに、おおもとのクライアントも動いていた。ま、広告業界だから、それも当然といえば、当然なのだが。この不景気、あれこれ創意工夫しないと生き残れない。事業転換を考えているHさんは、その仕込みをひとり事務所でやっていたのに違いない。

世の中、連休でのんびりしているようで、のんびりしていない。客商売はとくにそうだ。人が遊んでいるときに働く。また、Hさんやオレのように、受注仕事ではなく、自社商品、自社企画に取り組んでいる連中は、仕事をつくろうと仕込みをやる。普段、ルーティンワークに追われているから、連休や祭日は、そのかっこうの時間がとれる時期。頭の中から仕事が離れることはない。

そんな生活をオレは何年やっているのだろうとふと思う。考えてみれば、15歳の頃からずっとこんな、いつも何か気がかりなことを抱えて生きてきているような気がする。何かを問いたい、形にしたい、それを自分の構想通りに実現するには、自分で仕切るしかない。企画から物書き、物づくり、そのプロデュースまでやるという予兆は、小学生の頃からあった。15歳の頃にそれをはっきり自覚し、それからは、ずっとそういう生活。その合間に、女子のことやら、家族のことやら、友人のことやらで心を遣っている。

疲れも感じるし、あれこれへこむこともあるが、そうした道を歩き出せば、歩き続けるしかない。オレは、そんな生活で、ふと疲れたときとか、書き物していて、スイッチがカチッと入ったとき、いわゆる作家モードになっているとき、また、自分が描いたとおりに、映像やイベントの作品ができあったとき、どうしてか、さびしい歌が聴きたくなる。

たぶん、慌しく仕事をし、つかの間でしか心をほぐせない人間は、おしなべてそうなではないかと思う。

この数日、オレの頭の中に、フォーク・クルセーダーズの『悲しくてやりきれない』や学校唱歌の『月の砂漠』『雪の降る街を』が流れ続けている。オレと年齢の近い、忌野清志郎が亡くなったこともあるのか、『雨あがりの夜空に』もそうだ。

ちょい病みモードになりつつある。
50肩は再発しているが、やっぱ、運動は正解だったのだ。

体重落とすのはいい。精神が研ぎ澄まされる。