秀嶋賢人のはてなブログ

映画監督・NPO法人SocialNetProjectMOVE理事長

もはや値しない。

たとえば、民間企業や自営業において、ある仕事の準備から実施、そして終了後のサポートといたことにかかわる時間、すべてに経費が発生する。
 
仕事そのものにかかる経費とは別に、その仕事をランニングさせるための間接経費が発生するのだ。
 
当然ながら、そこには光熱費もあれば、地代、いわゆる打ち合わせや作業として使う場所代もかかる。コピー機の使用料もあれば、資料をつくるために購入する新聞図書費、文具などの雑費もついてくる。交通費もかかれば、電話代もかかるのだ。
 
ひとりの人間ではできなければ、それをサポートする人間の人件費も発生すれば、そのサポーターが使う間接経費も発生する。

だが、じつは、これは行政においても同じ。市民や国民の税金で賄われているために、その原価意識が希薄なだけだ。

このひと月あまり、与党間の調整作業から内閣府における会合、そして、いま開催されている国会審議。これらにはすべてコストがかかっている。

だが、政治家という輩には、この原価意識がまったくといっていいほどない。自分がもらっている給与や調査費といった経費もすべてが税金。その給与や調査費を自ら稼ぐという意識がない。

政治家なのだから、国政に携わっているのだから、それは当然だろうくらいの認識としかいいようがない。

無駄な会議、無駄な間接経費、無駄な人件費を使っても、だれも責めるものがいない。横領や詐欺罪になるような使途不明や架空経費計上は論外だが、普段行われている政治活動そのものに、原価意識がないのだ。

先般の解釈変更による閣議決定。国民の8割以上の拙速という声を無視して、あれほど急ぎながら、今国会においても、次の国会においても、法制化のための審議は先送りするという。
 
理由は簡単で、政府や与党の思惑と違い、国民の反対や消極的な姿勢が明確になったからだ。滋賀県知事選だけではなく、それぞれの党がやっている世論分析でも与党に分が悪い。

そこで、12月の日米防衛ガイドラインに解釈変更をねじこんでしまい、国会審議は次の衆議院選挙後にという算段ができている。その間に、拉致被害者の帰還を演出して、強引な憲法解釈で離れた国民の人気を取り戻す…
 
子どもだましの、ままごとのような政治日程を組み、そのために、これまであれほど強行に進めていた憲法解釈変更と実施への審議を後にする。だったら、最初っから議論の遡上にあげるなといいたい。
 
福島第一原発の凍結作業失敗や海への濾水といった緊急の対策や消費税増税分の福祉予算の組み替え、石油をはじめとする資源や原材料への対策などなど…審議しなければならないことは山ほどある。経済対策も行きどまったまま。

内容についての賛否と議論は別にして、国会を開く、議会を召集する、党の会議をやる…すべて、税金が注がれてのことだ。政党助成金は税金。党の動きも税金に支えられているのだ。

政党や政治の思惑で、国民の税金、私たちが厳しい経済状況で払い続けている金をそのように使う政府、政党、政治など、もはや、政治という名に値しない。