秀嶋賢人のはてなブログ

映画監督・NPO法人SocialNetProjectMOVE理事長

日本の汚点

今日の国会答弁でも、安倍総理は、こんな答弁をやっている。

安保法制は違憲だと憲法学者の多くが指摘し、世論調査でも反対、もしくは否定的な意見が多い。ゆえに、一度、政権が安保法制そのものを見直す時間を持ったらどうか…

その野党の質問に、安倍総理は、国民から選ばれた代表者である自分たち国会議員が国民に代わって考え、成立、実行させなくてはいけないものだという趣旨の発言をしている。

こうした答弁が平然とされていること自体、この国の改憲派議員がいかに憲法をないがしろにしているかが読み取れる。

憲法と照らして、違憲、もしくは違憲の疑いがあると指摘された法律は、国会議員の判断にすべてゆだねられて議論されるべきものでも、いいものでもない。

それは、あらゆる形で国民に問わなくてはいけない。いうまでもない。憲法改正およびこれに抵触する法律は、国民の主権を脅かすものだからだ。いかに中国の台頭や韓国との軋轢があれ、それと憲法に抵触する法律を憲法を無視して成立させていい根拠は立憲国家において、ひとつもない。

政治も政府も政権も、国民の上にあるものでもなければ、選挙に選ばれたからといって、国民主権の根幹である憲法を国民に代わって勝手に変更していいものではない。

いまの自民党は大きな錯覚をしている。選挙における国民の選択基準調査を見てもわかるように、多くが経済、生活の向上と将来の安定、そして、それら経済政策の確かな実行だ。

決して、改憲改憲ができないからといって、憲法を無視した法律の制定を選択して、自民党を勝たせているわけではない。

まして、いま公明党創価学会の票なくして、自民党がこれだけ議席は伸ばせない。まちがっても、自民党がなにをしても許される形での大勝ではないのだ。

自民党がここまで強気になれるのは、株価が20000円台で推移しているという、ただそれだけの理由しかない。企業収益があがるための異常といえる金融政策や雇用政策。異常でも企業収益が上がれば、いつか国民生活もよくなるのでは…と考える我慢強い自民党支持の人たちに支えられているだけだ。

確かに、いくつかの分野で企業収益はあがり、そこにかかわる人々は自民党政治が戻ってよかったと考えている。また、先行き不安をかかえない成長分野や安定分野に生活する人たちもそう考えるだろう。

だが、現実には、いまの経済政策の中で貧困、高齢者対策は滞り、犯罪の凶悪化や陰湿さは広がり、社会保障の歪さで表に出ない、生活苦によって、不利不足をこうむっている人は少なくない。

その状況にきちんとした手当もなく、やるかと思えば、無能な少子化対策子育て支援策を講じる。

国立競技場問題もそうだが、安保法制で延長される国会で、190億円の会費が消えていく。当然ながら、すべて税金だ。

やらなくていけない緊急の政策、対策は、国内に山ほどある。しかし、それよりも対外的に見栄を切ってしまった、積極的平和主義という名のアメリカ同調政策が大事らしい。

前にもいったが、それによって軍事における安全保障を富の安全保障にすり替える。これもアメリカのネオコンが得意とすることだ。戦争が起きて得をする人間たちのための、安保法制。

国民を第一とする憲法国民主権は、その人たちにとって、意味を持っていない。人のいのち、暮らし。それを平和に維持し続ける。それしか政治家の第一義の務めはない。

そもそも、現行の解釈で、自国の防衛は十分可能。それがいつか集団的自衛権でなければやれないとすり替えられている。

詭弁とごまかし、不勉強さは、文化芸術懇話会での威勢のいい沖縄蔑視と報道弾圧で透けている。海外のメディア、政治家のだれが、この国の政権中枢の政治家を政治家として認めるだろう。

日本の汚点、ここにあり。