秀嶋賢人のはてなブログ

映画監督・NPO法人SocialNetProjectMOVE理事長

教訓

いわきMOVEの設立にともなう、事前根回しのために、月曜午前からいわきへ。
 
連携関係にある、任意団体のメンバーといわきMOVEのメンバーに重なりがあり、MOVEメンバー以外の方で、つながりのある方たちに事前にその内容とこれからの取り組みを案内するためだ。
 
すでにある、人のつながりとは別に、集団や組織、あるいは、動きをつくりだすときは、そこに同じ人間が絡んでいれば、きちんと情報を開示し、そのねらいや目的を明確に伝え、共有しておいてもらうというのは、大事なことだ。オレはそれは人の世の常識だと思っている。
 
情報が伝わらず、共有されていないと、人は、何かで意志疎通がうまくいかないと、必ず、疑心暗鬼になり、不信や疑念を生む。それが場合によっては亀裂やあらぬ諍いの種にもなる。
 
きちんと情報を伝え、その意図や目的が事前にわかっていれば、そうそうにそうしたことにはならない。また、相手の考えや質がわかれば、それに互いが対応する事前準備もできる。
 
MOVEを始めた当初、じつは、行政関係を含め、ずいぶんと不信感を持たれていた。
 
ある行政マンの方たちが、あれこれあって、そうした不信を乗り越えたときにいわれたことがある。
 
「被災地を応援するといいつつ、じつは自分たちを招いた人々が社会貢献という名前でお客を集め、収益を上げようとする。そのねらいははっきりしている。たとえそうであっても、相手の収益をえるために呼ばれ、しかし、行った自分たちも収益をあげる。それはじつにわかりやすいんです」
 
「結果的にそれで告知もでき、物も買ってもらえるなら、それでいい。ところが、秀嶋さんたちは、まったく収益や自分たちの名前を売るといった意志がみえない。ただ、ただ、いわきを応援する…それしか感じられない。じつは、それがすぐに信じられなかった原因だったのです」

その本音を聞かせてもらえるまで、ずいぶん時間がかかったし、いろいろといやな思いもした。しかし、それを聞いて、もっともだなとも思った。

そんなお金にもならないことを身銭を切ってやる人間がいるはずはない。そこには、きっとなにか計算があるはずだ。人はだれもでそう思う。

だが、オレはそうした受けとめ方をされるのは仕方がないとずっと耐えた。そして、いうべきときに、きちんと、いや、机をたたいて、話をした。不思議なもので、机をたたいて、こちらの本気が逆に伝わった。
 
しかし、オレが机を叩いても、反発や反論にならず、オレの本気と受け止めてもらえたのは、それまで耐えながらでも、きちんと意図と情報を伝え続けてきたからだと思っている。
 
簡単にいえば、人を置いてきぼりにしないという配慮だ。十分にそれができているかどうかは別にして、常に、新しい動きや取り組みの節目には、仲間だけでなく、周辺の人たちにも、こうなのだという説明責任はある。
 
手間暇と時間を割いて、人と会う時間をつくるのは大変かもしれない。しかし、肝心なときは、どんなに忙しくてもそれをすべき…オレは、15歳の頃から、人をまとめる側の役を引き受ける中で、それを学んできた。
 
人と人が顔を合わせ、じかに言葉を交わし、言いにくいことを含めて、きちんと向き合えば、必ず、次の道はみえる。いまもだが、ひとり突っ走ってしまいがちな自分が、この歳になって、やっとそうあらねばと思えるようになった教訓だ。