秀嶋賢人のはてなブログ

映画監督・NPO法人SocialNetProjectMOVE理事長

強い手ごたえ

福島を題材にした作品「誇り」のオフライン編集(下編集)がいま終わった。
 
オレのオフラインはそのまま音付にもっていけるほど精度が高い。映像の世界に入ってすぐ、原価意識の厳しい経営者のもとで制作をやらされたときの教訓がそうさせた。
 
本編集(オンライン)をスタジオを借りて、油断して仕事をしていると湯水のように費用がかかる…という時代があった。いまでは、パソコン編集が当たり前になり、オフラインとオンラインの差がなくなって、かなりの部分を下編集段階で簡単にやれる。
 
だが、映像の世界に入った頃は、そんなに精度の高い編集機がなく、アナログ作業の中で精度を高める工夫をずいぶんした。結果、本編集での手間暇をほとんど事前に省くほど、丁寧に、そして早く編集ができるようになったのだ。
 
これから本編集にまわすデータシートを起さなくてはならないが、とりあえず、ショートフィルムながら、うちにしては手間暇を惜しまなかった作品の姿が現れた。別作品の学校教育物が残っているので、まだまだ作業はかかるが、おそらく金曜日の昼までには映像をつなぐ編集作業からは解放されるだろう。
 
どの作品でもそうだが、台本を書き上げたときの確信が大事だ。だが、現場に入り、予算や時間を考えながら撮影をやっていると、わずかに取りこぼすものがあったする。大方、それは編集作業や音処理などで対応できるのだが、気を張って現場にいても、そうしたささやかな悔いが残るのは常だ。

今回もそうしたものがなかったわけではない。だが…台本を書いたときの確信、それ以上の映像の姿になってまとまった。
 
そうしたことは実は、あまりない。台本を書いたときの確信をそのまま形にできることはある。現場の事情で台本の確信を形にできないときは、演出の力技でその水準に持っていくということもする。
 
だが、今回は本を書いたとき以上の出来栄えになっている…俳優も今回初めて組む俳優たちばかりだったというのに、作品にかなう演技をみんながやっている…編集をやりながら、不覚にも涙を流したのは、もしかしたら初めてかもしれない。

俳優やスタッフはもちろんだが、こうした作品づくりに制作協力で一部制作費を負担してくれた会社やボランティアで協力してくれた仲間とそのつながりの方々に心から感謝したい。福島をテーマにしたからこそ、できたことだと思う。
 
久々に強い手ごたえを感じている。