秀嶋賢人のはてなブログ

映画監督・NPO法人SocialNetProjectMOVE理事長

思いは変わらない

NPOの法人登記後、関係監督官庁へ提出書類のため、都税事務所、都庁を回る。その間を縫って、これまで任意団体だった銀行口座から、新規に法人口座の開設手続き。
 
偶然ながら、節分の日、いわば大晦日に手続きを終えたことになる。
 
節分や立春という言葉は知っていても、本来、気運の変わり目とされるのはこの時期。最近の人はあまり、気にかけていないだろうが、四柱推命では、運気の分かれ目となる。実質的な新年にMOVEはスタートしたのだ。
 
そして、最初に来る平日が2月6日。実は、この日はうちの会社の創業記念日。23年前、広尾の明治通り沿いにあるマンションの一室で、秀嶋賢人事務所としてスタートした。同時に、その日は相模原のかみさんの誕生日でもあった。息子はまだ一歳。
 
時の経つのは早いものだし、時は本当にいろいろなことを教え、そして、変えていく。
 
回りまわったその23年目の年に、NPO法人が立ち上がる。不思議な縁としかいいようがない。
 
都庁からの帰り、夕飯にと…ミッドタウン地下のスーパーで恵方巻きを買う。実は、福岡では、北北西に向って無言で恵方巻きを食うという習慣はない。あったのかもしれないが、それがオレの家庭や周囲で話題になることはなかった。ふと手にしたのは、たぶん、CMの影響。ちょっと買ってみるか…程度。

それを持って、事務所に急いでいると知り合い連れのネーリストのKとばったり。年の変わり目にKと会うというのも奇妙なものだ。普段、この界隈でばったり会うことはない。
 
ひとり暮らしのオレのからだを心配してくれたいたから、今年は、体調に気をつけろ…ということか…
 
高校2年のときだった。柴田翔という東大の教授が書いた60年代安保前後の学生運動を描いた芥川賞小説があった。その中で、このようなくだりがある。
 
「人の幸や不幸は関係ない。人は生きたということに満足すべきなのだ。なぜなら、人は生きることによって自分の運命も変えられるのだから…」
 
正確ではない。しかし、オレには、実に胸にしみる言葉だった。自分のなにかの成就に生きるのではなく、生きることそのものに価値がある…という言葉は、当時のオレの心象にきっとぴったりしていたのだろう。
 
体調には気をつけなくてはいけない。だが、どこまで生きるかではなく、どう生きたかが重要ではないのか…
 
『されど、われらが日々』。その思いはいまも変わらない。