秀嶋賢人のはてなブログ

映画監督・NPO法人SocialNetProjectMOVE理事長

悔いなき人生

新事務所になって、まだ一度もご案内していないかった東映のCプロデューサーが、週末夜が詰まっているのでと、昼、顔を出してくれる。
 
もともと、いま進めている映画の企画は、Cさんと始めたこと。それが、予定していたスポンサー企業の反応がいまいちということで、オレが単独で動いて、ここまで漕ぎつけた。
 
だから、Cさんもうちで進めている映画企画の進捗は気になる。ここまでの進行状況と次の課題などを説明する。テスト稿があがれば、東映の協力が必要になるし、すでに織り込み済みで動いている。
 
「できることがあればやりますから…」と、ありがたい言葉。うちが今期大量に自主作品を提供したことにもお礼の言葉をもらう。感謝。
 
あと一つ取材をやって、マジ、テスト稿に入る。
 
ぼちぼち始まっている自治体、行政のコンペ作品に声をかけてくださいとお願いして、Cさんと別れる。経営者に営業活動は欠かせない。うちもだが、秀嶋組のスズメたちが仕事を待っている
 
事務所に戻っていると、同じマンションにオフィスを持つ、下北の割烹「高むら」を教えてくれた、インテリアデザイナーのCさんとばったり。ほどんど事務所にいないCさん。こうして偶然、顔を合わせるのは珍しい。知人が趣味でやっている「オトナの花火大会」が10月16日に決まったと教えてくれる。
 
趣味とはいえ、プロの花火職人並のマジな花火大会。その方が音楽関係の仕事をやっていることもあり、花火と音楽をリンクさせた独特の花火大会は、DVDで視聴させてもらったが、すばらしかった。実は、オレの舞台作品とのコラボなど、いろいろな展開ができそうな予感がある。
 
やらなければならいないこと、やりたいことはあれこれあるが、まずは、いまと向き合うしかない。
 
プロデューサーのCさんが教えてくれたが、オレと東映の縁を深めてくれた、元著名シナリオライターで、女性プロデューサーのKさんが今月で退職する。最近は、Kさんと仕事をすることも、会うこともないのだが、出会った当初は、オレを心配して、あれこれ仕事をまわしてくれた。東映を退職し、童話作家としての道を歩み出す。
 
出会った頃、Kさんがよくオレに尋ねていた。
 
秀嶋さんは、一時は儲かる仕事をしていたのが、どうしてあまりお金にもならない社会貢献事業やシンポ、そして、教育や啓発作品をつくるようになったのか…。
 
オレは答えた。
 
もう50歳近くになって、残りの人生が短くなった。だから、不本意な仕事、自分の意志と反する仕事で貴重な時間を費やしたくない。自分がやりたいと思っていた仕事をやって、そこで貧しさと闘わなくてはいけなくても、生きる喜びが強く感じられる人生を、芝居をやっていたときのように、もう一度、選びたかったから…。
 
Cさんから聞いたが、Kさんは、オレがそのときいった言葉と同じことを退職の理由にあげていたらしい。
 
夢を追い、夢に人生をかけるのに、年齢は関係ない。人はどう生きたかが重要なのだ。それは、言い換えれば、どう死ぬかということ。死ぬときに、無念さはあったとしても、悔なき人生を生きることが大事だと、オレは思っている。
 
それは、いまと向き合いながら、いまに流されず、理想や夢に少しでも近づこうと、あがき続けることのような気がしている…。