秀嶋賢人のはてなブログ

映画監督・NPO法人SocialNetProjectMOVE理事長

人は欲と二人連れ

人が何事か社会のために行動しようとするとき、忘れてはならないことがある…とオレは思う。
 
それは、純粋な使命感だけでは、継続的な活動にはなりえないということだ。
 
最初の一歩に情熱や熱意といったものがなくては始まらないのは事実だが、それは、また、同時に、折れやすく、偏狭な思い込みの袋小路にはまる…という危険が大きい。
 
安保反対闘争にせよ、基地反対闘争にせよ、何がしかの市民運動にせよ、オレがこれまで学習したり、見聞し、かつ自分自身かかわってきたいくつかの闘争や運動を振り返っても、純粋な使命感というものがどれほどもろいものかを実感させられてきた。
 
また、徒党をなす、群れをつくるということは、ときには排他性にもつながり、狭隘なセクト主義とも無縁ではない。市民運動がこの国で国民全体の運動としてつながりにくい…ということには、徒党をなした途端に、そのセクト主義ともいえる閉鎖性に当事者が気づいていない…ということが実は多い。
 
「人は欲と二人連れ」。オレが社会貢献活動にせよ、宗教的ボランティア活動にせよ、熱に浮かされたようになっている連中に必ずそれをいうのは、そうした思いがあるからだ。
 
また、支援する、されるという関係で物事をとらえるのも正しくはない…とオレは思っている。かつ、支援される側の要求ばかりを聴く…ということも正しいやり方ではない。つまりは、責任と自立を共に学ぶ、共に育てるということがなくてはいけない。
 
そうしなければ、次のビジョンが見えてこないし、見えたとして、それを構築する力が生まれてこない。同時に、一瞬芸で終わり、その場限りの社会貢献で終わる。
 
オレは、長く、社会問題や社会貢献に関わる作品を取材し、制作している。それができるのは、基本に世の中はこうあるべきではないかという自問が常にあるからだが、それと同じくらい、それを自分のライフワークのひとつにしようという思いがあるからだ。
 
だから、一つ一つの出会いが大事にもなるし、一瞬芸で終わらないためには、何をどうすればいいのだろうと常に考える。ひとつの貢献事業が仮に一瞬芸で終わったとしても、別の形にして同じ考え方、取り組み方がほかでできないかと考える。
 
そうしていくと、どうしてもそこに関わる人、それぞれにある、欲と出会う。だが、欲があるからこそ、何がしかプロジェクトに関わろうという意欲にもなっている。だから、人の欲を無碍にはできないし、否定もしない。要は、オレが目指す何がしかの貢献なり、社会事業が実現すれば、それでいいに過ぎない。
 
先月の29日30日に続き、今週の土日を利用して、再び、いわき市へ向かう。当初、今回は足を先に延ばし、もっとも被害のひどかった石巻周辺への救援取材活動を考えていて、知り合いのカメラマンに同行する予定を急きょ変更した。
 
いわき市現状を知って、そのまま素通りできなくなった…ということもあるが、そこでいい出会いがあったということもある。その中でも、欲のある人と出会えたということが大きい。
 
Social Net Project MOVEの一つの活動の方向性を予感させ、示す出会い。それを手掛かりにより、深く、いわき市と関わろうと考えている。もちろん、そこには、オレ自身を突き動かす、欲がある。