秀嶋賢人のはてなブログ

映画監督・NPO法人SocialNetProjectMOVE理事長

いとおしい時間

いつもの高校の女子同級生仲間と飲む。前回は確か4月頃のことだった。ほぼ半年に1回。いまはオレにとって、心をいやされる楽しみな半年に1回になっている。
 
仕事でお世話になっているYさんとこれも半年に一度くらい密かに飲んでいるが、いつだったか、オレが女子同級生仲間と飲んでいるというと、実にうらやましがる。
 
男性の場合、世代が同じくらいの人間同士で、仕事も利害関係もなく、遠慮なく飲める場というのは、年齢を重ねるほどに少なくなってくる。せいぜい大学、高校時代から付き合いの続く、ごく限られた親友くらいではいないだろうか。
 
会社人間の男性は、趣味や地域の人間関係で深く結びつくというのが、苦手な人が多い。自由な枠の中で人と出会うことになれていなし、そこでのコミュニケーションスキルが低い。
 
それに、Yさん、実は人見知りだし、こだわりが深い。あまり人に心を開かない一面がある。それはYさんの中にある、コンプレックスも一因になっている。安心して、飲める場が欲しい。オレと飲むようになったのも、そんなYさんの寂しさがあったと思う。
 
ならばと、女子同級生のまとめ役、Iに連絡すると、YやHに伝え、それぞれ予定を調整して参加してくれた。奴らなら、きっと付き合ってくれると確信もしていた。だが、急の誘いなのに、よく付き合ってくれたと思う。やはり、同級生だ。
 
仕事のつながりになればと、京女優の小町も誘う。が、ほぼいじられ役。この役者、そうした役回りの方がいい芝居ができるのではないだろうか
 
角のボトルを1本空けた頃には、小町は寝いってしまい、Yさんもオレもできあがる。Yさん、酔いの勢いで、同級生をひとりずつ口説き始める。口説きたいのは、Yかと思えば、最後はH。
 
さびしいのだな…と、改めて思う。、こうした飲み会をうらやましいといったYさんが気の毒にもなる。
 
ま、ありがちなオヤジの酔い。酔った席とはいえ、同級生はよくいなしてくれた。さすがは大人だ。しかし、やな思いをさせたかもしれない。しらふのときに、Yさんを叱っておきます
 
オレはオレで、久々にIと議論。なんだが、高校1年のときを思い出す。だが、オレが政治や社会問題の話になると、昔と違い、激烈に一節語る癖があることを知らないから、激昂しているかと思ったに違いない。オレをにらむ顔が、プーっと膨らんでいた 
 
失礼だが、その顔がかわいいし、いとおしい。そんなふうに気持ちをあらわし、いいたいことをいい、そして、こうした席に付き合ってくれる。そのことが、途轍もなく、いとおしいのだ。
 
同じ高校で、ほんのわずかクラスを共にしたか、ただ同じ学年だったというだけで、40年近く経ったいま、こうして浅草の小さな割烹料理屋で、ある意味、昔のまま、飲んでいる、オレたちがいる。
 
東京にきて、それぞれの苦労と悲しみを越えて、いま、こうしてたまに同じ時間を過ごすことができる。オレがみんなをいとおしいと思えるのは、オレ自身の姿がそこにあるからかもしれない。
 
それは、残念ながら、この歳にならないと見えない、いとおしい時間…。
「若い奴らに青春という言葉は、もったいなさすぎる」。