秀嶋賢人のはてなブログ

映画監督・NPO法人SocialNetProjectMOVE理事長

人とつながり合うのは難しい

男と女では、女の方が耐性が高い。耐性とは我慢力。
 
我慢力が高い分だけ、自分の感情を読まれない力も、いろいろな思いを笑顔に包み込む技も巧み。感情を表にあらわしがちな女性がいたとして、怒っていても、泣いていても、その怒ってるいる理由、泣いているわけが、男性の予想や読みを越えていることもしばしば。
 
だから、男たちは、自分たちの異性の心を読む力が弱いのを棚に上げて、「女の涙は信じられない…」などとうそぶく
 
基本、男は耐性が弱いから、感情が表に出やすい。仮面をかぶって、とりあえず、その場をごまかすというのが苦手にできている。その分だけ、表情や言葉に出たものを手掛かりにしか、他者の心を読み取ることができない。そこに、読み違い、勘違い、思い込みが生まれ、女性たちは、「どうして、私の気持ちがわからないの!」と叫びたくなる。
 
あるいは、「うちの上司は何もわかってない!」と給湯器の前や女子トイレで同性とつぶやくことになる。
 
女性たちが井戸端会議(いまはファミレス会議)を必要とし、女子会やガールズトークを求めるのは、そんなところに理由がある。
 
が、しかし。女性は同調圧力(みんなと同じであることに流される傾向)が男性より強い。井戸端会議やガールズトークで一つの考えに集約されてくると、そこで、みんなが同じ意見や考えに支配され、ここでも読み違い、思い込み、勘違いが生まれる。
 
そればかりか、一旦は、一つに集約された同じ意見が、次の日、「それがさぁ…」と新しい情報に出会うと、いままでの意見が急転、まったく反対の意見に変ってしまうということも起きる。女性がゴシップやスキャンダルに敏感なのはそのせい。
 
理解されたいと互いが願いながら、分かり合うということをとても難しくしているのは、こうした一見、ありがちな、たとえば、「しょうがねぇなぁ~」と互いが思い合うようなところに原因がある。
 
だから、普段から、互いが互いの気持ちを素直に聞こうと努める構えがいる。意識して、意図して、相手の気持ちをわかろうとする気構えを持たないと、そのささいな、ありがちなコミュニケーションの齟齬(行き違い)から、深い断絶を生み、それがやがて、大きな傷になってしまうことも少なくない。
 
セクハラ、パワハラモラハラといったことが起きてしまう背景にも、虐待が起きてしまう要因にも、その虐待の辛さから、家に放火する女子中学生にも、虐待の記憶を子どもに向けてしまう親にも、そして、だれでもいいからと、無差別に人を殺める人間にも、そんなささいな亀裂が、互いの読み違い、勝手な思い込みが、問題を生むテコになっていることが少なくない。
 
人とつながり、分かり合うということは、つながろう、分かり合おうと向きになってやることではない。なのに、人は、読み違いや勝手な思い込みで、それができると向きになる。向きになれば、そこにいろいろな軋轢や諍いが生まれ、それがやがて、暴力にもなる。
 
つながり合い、分かり合うことは、簡単なようで、とても難しいのだとわかれば、もっと丁寧に人と接しようと思える。ちょっとしたふれあいを大事にしようという気持ちにもなれる。
 
人とつながり、分かり合うのに、時間をせいてはならない。