秀嶋賢人のはてなブログ

映画監督・NPO法人SocialNetProjectMOVE理事長

人に教えられる

雨と寒さが戻り、これは4月下旬の陽気ではあるまい。ひとっ飛びに梅雨の様相…。
 
午前中の運動は、お休みして、アフガン関係の資料集め作業。
 
昼前に、税理士の先生に連休明けに提出する四半期の資料の作成作業で、相模原のかみさんがお手伝いに来訪。毎回のことだが、四半期になると、あれこれ忙しい中、度々、事務所まできてくれる彼女に感謝。経理の打ち合わせをやりながら、息子の近況など聞く。
 
夕方、銀行の新しい担当者が来訪。うちの仕事の内容を話していると、いじめ関連の作品に眼をとめる。おや…と、思ったら、やはり、その方の息子さんが中学時代にいじめに遭い、ずいぶんと大変だったらしい。
 
押しの強い雰囲気に、大丈夫だったのかなと、一瞬、その方の対応法が不安になったが、最後まで話を聞くと、これがすばらしかった。
 
最初は、息子の非行を疑ったらしい。手も挙げた。それでも、そうしてしまう理由を語らなかったらしい。あまりに頑なな息子の姿に、何かあるのでは…と、思ったその方は、自分では話しにくいだろうからと、奥さんにそれとなく聞いてみてくれと頼んだらしい。
 
そこで、実は、クラスメートに恫喝されていたことがわかった。先方の親、そして、教師も交えて、話し合いをし、子どもを守った。守った後で、息子に土下座して謝ったという。
 
「子どもはいえないんですよね…。それが初めはわからなかった…」そのことに気づき、心から子どもに申し訳ないと詫びたのだ。
 
そして、教師を責めず、かつ、警察への通報はしたものの、加害者が転校するということで、告訴は取り下げ、加害者にも更正のチャンスを与えた。起訴されてしまえば、前科になる。親としての怒りもあったろうが、相手の子どもの将来を考えてのことだ。
 
「親は、子どものことになると、見えなくなる、冷静でなくりますよね…」。当初の自分の子どもへの対応の不手際が彼にそれを教えた。そこにくるまでには、家庭内でも、学校との折衝でも、相手の親との交渉でも、いろいろあっただろう。簡単に、その気持ちにたどりつけたのではないと思う。帰り際、オレの本を贈呈する。
 
人は、やはり、困難と試練の中で、多くを学ぶのだ。
 
人の語れない思いを察するというのは、いうほどにたやすいことではない。わかっていても、素直にそれに応えることができないのも、人というものだ。見栄、体裁、これまで自分が生きてきた価値観。そこから自由になるには、何かを大きく変える体験や人、出来事で出会わないと変れない人間もいる。
 
そして、オレもそのひとり。またまた、人に教わる。
 
人に迷惑をかけない生き方こそ、美。人に迷惑をかけながら、お互いさまと助け合うのも人。その狭間で、多くの人が悩んでいる…。