秀嶋賢人のはてなブログ

映画監督・NPO法人SocialNetProjectMOVE理事長

出会いの不思議

数日前、ずいぶんご無沙汰している社会学者のM氏に、維新派の芝居を観劇するという連絡を近況報告ついでにメールで連絡する。

最近、毎夜、ウォーキングとジョギングをやっているのだが、青山墓地を帰路、歩いていると、その翌日、携帯にM氏から電話。以前、M氏に誘われた、維新派の芝居を忘れていなったことを喜んでくれていたのだ。

できれば一緒に行ければと申し出てもらったのだが、オレが予定している日は、M氏が毎週やっている激トクのオンデマンドの日。難しいのはわかっていた。あえて、オレの方から一緒にと誘わなかったのはそれがあったから。

来月は少し時間があるということなので、改めて連絡しようという話になる。

電話をしているときは、つい失念していたが、そういえば、オレがこの一年前くらいから顔を出すようになった乃木坂のコレドには、M氏もよく知っている、新宿2丁目好きの元文部科学省官僚のT氏が出入りしている。ま、次に会ったときに、よた話のついでにも伝えよう。

オレが40前後の頃からだから、M氏との付き合いは、もう15、6年になる。教育評論家のO氏や精神科医で、文芸評論家のS氏も同じ頃の出会いだった。当時、みなさん、忙しかったが、いまは、そのとき以上に超多忙。

しかし、この間、オレの本の出版記念で、忙しい中、時間を割いて、ミニシンポに参加してくれたS氏のように、何かあって、連絡をとると、あれこれ心を砕いてもらえるのは、本当にありがたい。

いま、振り返れば、当時は、M氏とは、あれこれ仕事のことで、頻繁に会っていたし、M氏ばかりでなく、S氏ともプライベートな遊びもやっていた。新しい文化をつくり上げている高揚感もあり、互いの異なる情報や体験が、いい形で刺激し合っていたからだと思う。

ふと、それほど時間は経っていないのに、なつかしい青春時代の仲間と久しぶりに会話をしたような感覚に襲われる。

あの頃、オレたちが理想とした社会づくり、国づくりが、十年以上経って、政権交代が起き、やっといま実を結ぼうとしている。これでいいというものではないが、日本近代、戦後民主主義の矛盾を語り、その矛盾が引き起こしている、社会、教育問題を声高に語り、団塊のアホな連中に息巻いていた、当時とは、ある意味、雲泥の差だ。

社会変革にはまだまだ、紆余曲折、試練至難も多い。変革の意志を滞らせてもいけない。そのために、まだまだ、みなさんには、がんばってもらわなくてはいけないことが山ほどある。

オレはオレで、自分の表現を通して、実現し、伝えなくてはいけないことがある。

しかし、一時期を同じ活動の中で過ごした共感と共鳴は、いくら時間が経っても色褪せるものではない。それを感じるとき、オレが無手勝流に取り組んでいたいろいろなことが、少しは役に立っていたと思えて、素直にうれしい。

明日は、これも一年ぶりに、教育評論家のO氏に仕事の取材でお会いする。

人の出会いとは本当に不思議だ。自分が求めていると、そうした人が仕事や何かの関係で、ふと立ち現われる。そして、こちらの熱意が真摯で、打算がなければ、魂が共鳴するような、ふれあいを持たせてくれる。

オレが行き詰まっているとき、そうした思いのある人たちと、再会ができるのは、本当にありがたいことだ。