構想はめぐる
大澤真幸の『生きるための自由論』を読む。
いまの世界にある多様性と流動性をどうとらえ、他者との基盤や関係性が希薄になった社会で、それを打破していくのに、どういう方法論があるかを社会構想論からひも解いている。
オレが公式HPの社会評論コーナーOUTで提唱している考え方と基本的に変わらない。社会がダイナミズムを獲得するためには、相反する思考やシステムが互いを批評しながら、そこにあることが大事だという視点だ。
読みながら、やはりオレと同じところに着眼している奴がいるのだと、自論の方向性の確かさを裏付けられ、うれしかった。
事前知識がある程度必要な評論だが、分量も少なく、いま求められている世界観、社会観をおおまかにつかむには最適な本。
新年に入り、分野の違う書籍を読み、NHKのビジネスドキュメンタリーにも目を凝らしているが、共通するのは、大胆なシステム変更と意識改革だ。
株価の動向、大企業の短観予想は上向きながら、先行きの安心感がない。以前、厳しいい状況は変わらない。うちの会社も昨年は自主作品を6本も制作したが、その反響は、まだ、いま一。
うちの仕事もダイナミックな転換を考えていくときなのかもしれないと、あれこれ日常業務に追われながら、頭の隅で構想がめぐる。
ふと、これからのビジネスには、単に物そのものを売るだけでなく、そこに新しい知識や社会貢献が伴わないと、消費の創造には結びつかない時代が来ているという話を思い出す。
たとえば、制度やシステムを変えていくという考え方、具体的に何がそれに適合するのか、そうした情報や知識、現象のとらえ方も、ひとつの商品になりうる。
そして、どうやってあたらしい取り組みに着手していけばいいのか、またまた、構想がめぐる。