秀嶋賢人のはてなブログ

映画監督・NPO法人SocialNetProjectMOVE理事長

女子の一服

土曜日の夜は、家のみをする。

なんとない話の流れで、オレの手料理で家のみしようという話になり、ネーリストのKさん、R、ベティ、お手伝いのエリ、メグたちとレディースナイトをやる。仕事帰りのカリスマも遠慮がちに参加した。

女子は、あれこれとりとめもないことを話すことで、一服入れるのがうまい。男子からすれば、たわいのないようなことでも、だべりの時間がちょっとした生活の隙間にあることで、元気になったり、やる気になったりする。この面子で飲むこともあまりないから、一席設けよう。そんなこんなで、レディース中心の飲み会をやることに。

朝、戦没者慰霊祭に参加して、夜の準備に仕込みをやる。あれこれ酒を持ち寄り飲んだのだが、昨日の朝、二日酔いで目覚め、空き缶、空き瓶を片付けていたら、結構な量を制覇している。いい飲み会だったということ。

昨日は、女優の内田から一月半ぶりにメールをもらい、夕方、銀座で落ち合う約束をしていた。ブログの更新もままらないほど、酒の抜けない体で、銀座へ向かう。

メシをしたあと、まだ時間が早いからと、女子とカリスマが持参して、空けていなかった酒を片付けようと内田に手伝わせる。またもや家のみ。またも、二日酔いの予感。

オレは、自宅では一人酒をしない。へこんでいるときには、とくにそうだ。ネガティブになってしまう自分がこわい。それに冷蔵庫を陣取った酒が片付かないと、オレの小さな冷蔵庫ではスペースがとれない。

この夏、トランポリン指導の海外出張や国内の大会への同行などで、トランポリンの指導者として新しい舞台が生まれ、仕事が順調な奴に、前々からそれはそれで、一つの選択の道ではないかと話をしていたのだが、オレの言葉に、奴は、悩んでいたらしい。

オレの言葉を女優として向いていない、女優の道よりトランポリンの方が向いているというふうに聞こえていたらしいのだ。

冗談やネタも入れて、話をしていたのだが、体育会系の生真面目な奴は、オレの毒舌にやられてしまっていた。昨夜は、珍しく、それに食い下がってきた。

このところ、芝居のことを考える時間や芝居と直接ふれる時間が少なく、もやもやした気分になり、ブルーが入っていることもあったのだろう。

人は、誉めて育つ奴もいれば、叱咤激励して伸びる奴もいる。それぞれの人間に応じた方便が必要なのだが、ちょっと、オレの叱咤が薬になり過ぎていたのかもしれない、と反省する。

以前、秀嶋組のヘアメイクHから、中途半端にやるならやめたほうがいいと叱責された辺りから、奴は、あれこれ悩み続けていた。

不安なとき、人は褒められたり、いやされたりしたい。

自分自身、指導者という立場にあるから、そうした言葉に思いの裏があるということはわかっているのだが、デビューが遅く、どのように女優としての自分をつくっていけばいいのか、どのようにやっていけばいいのかに自信がない。へこんでいる場合ではないと思いつつ、これから自分は女優としてやっていけるのだろうかという不安があり、現場から離れている時間が続くと、叱咤激励ではなく、自分が前向きになるような声かけがしてもらいたかったのだろう。

甘えといわれても、甘えたいのにそれが許してもらえないから、じゃ、自分には資格がないからやめるしかないでしょ!とつっぱろうとする。甘えの許されない世界とは承知で、ちょっと褒められたり、いやされたりしたかったのだ。

それがあれば、少し元気になれ、前向きにも考えられる。自分の未熟さを知っているから、そうした受け皿の一服が欲しかったのだと気づく。

オレは、どうしても役者に厳しい。成功してもらいたいからだが、相手はそれでも人間、相手は女。その辺の配慮と斟酌が欠けていたのだ。

自分自身の弱さを向き合えば、厳しさから学んだことはあっても、厳しさで癒されたことはない。

女子には一服が必要。オレには、反省が必要。