秀嶋賢人のはてなブログ

映画監督・NPO法人SocialNetProjectMOVE理事長

メタボの騎士

来年の舞台上演のための劇場下見に 俳優座劇場へ

上手の引っ込みがないのは大きな欠陥だが もう建設されてから50年以上は経つ歴史ある小屋

オレの舞台スタッフはほとんど使ったこともあり 図面や劇場情報に詳しいのだが オレは客席に座った

ことはあるが 裏を見たことがない

劇場というのは 個性を持っている もっといえば ある種その劇場独特の空気感というのがあって

それと自分がやろうとして舞台の世界とがマッチしないと いい舞台にならない どこか窮屈で あるい

ブカブカで サイズの合わない服を着ているような違和感が生まれる

もちろん 演出のテクニックで それを調整することもできるが

オレは 舞台 劇場の空気感を何より大事にする 自分が劇場の舞台 客席 オペレーションルームに

佇んだときに感じる 劇場の空気感が 生理に合わないと そこで舞台をやろうという気になれない

依頼され そこでしかやれないという条件がある仕事では どう違和感や誤差を埋めるかに心血をそそぐ

が 自分の作品を 自分のイメージ通りに形にするために 相性を見る その作業は欠かせないのだ

俳優座劇場はいい小屋だ

作品によっては手狭と感じるかもしれないが 劇場が持っている空気感はいい

高校演劇時代を思わせる匂いが まだ残っている

昔は みんな こういうところで芝居をやり そして 観た

血がさわぐ しかし そのためにはそれなりの劇場費がかかるので 金を工面せねば などと考えながら

歩く 来週は池袋のシアターグリーンを観にいく 昔 台本が公演ギリギリまでかけなくて 違約金を5

0万も払った劇場だ で 歩く 天気の悪い日は徒歩 できるだけ歩く メタボ気味なオレの最近のルー



そして ふと 今日は雛祭りだと気づく

向田邦子の短編に「女正月」というのがある

昨日は普段なら意識しない「雛祭り」 地域によっては女正月と呼ぶらしい

ブログの今年の予測で 以前 述べたが 年の変わり目は「節分」 旧暦の正月が古来 本当の正月 

しかし 正月は 女はかつて忙しかった 掃除だ 正月料理の支度だ 新年に着る着物の手配だ 繕いだ 
挨拶回りだ 来客だと休む暇がない 

そこで 旧暦の正月(節分)が終わり 一月だった三月三日に女だけのご苦労さん会をやる ある意味 

女性の年の変わり目が三月三日 それで女正月

新年の抱負 今年の期待 これからの自分の行く道 などなど あれこれ考える時間のもてる日だった


ちょうどそうした節目に Norikoが入院したのも ゆっくり考えなさいという神仏の計らいなのかもしれ

ない 人付き合いがよすぎ それでいて さびがりやだから あれこれ知人友人の輪を広げすぎ それが

かえって 負担になったり 自分の時間を削ることになり 自分のため 自分を癒せる時間がとれない

それでいいのだ と思い続けていると結局自分が損をする 人生損得ではないが どこかで身を削ること

になる 

そういえば Mちゃんがこの何週間前に 人に気を遣い 自分を削るようなバイトをやめ 物書きの時間

をもっと優先するようにしたのも 女正月の少し前だった 女性が何か いままでと違う歩みを始めるの

に やはり三月三日はひとつのサインに違いない 今度メシするときに女正月のこと話してみよう

そんなことを考えながら 歩いて 歩いて 家につき バタバタと仕事をやり 晩飯をつくっていたら 

Iから今日会えないかというメール 数日前に相談したいことがあるといっていた 

で 何事かと西麻布の焼き鳥屋で会う

前々から何か恋愛のことで悩んでいるのではと踏んでいたが やっぱり

「どうしてわかるんすか?」とIは驚くが オレ 人のことはよくわかる 自分のことはさっぱりだが

メタボの騎士は うむうむと話を聞き たまに叱り たまに励まし 恋愛教授

メタボの騎士に休むひまなない 人々の幸せのために白馬にまたがり東奔西走

それで少しやせらればいいが きっと白馬の方が先にやせてしまう…