秀嶋賢人のはてなブログ

映画監督・NPO法人SocialNetProjectMOVE理事長

永田町芝居が教えている

菅への内閣不信任案が否決された。前日までの勢いでは、まちがないなく大量の造反者が出たと思う。
 
昨夜、東大教授秘書のTと赤坂の焼き鳥屋で飲みながら、「菅が辞任すれば…無駄な空白を生まないですむのだが…」。期待は薄いと思いながら、口にした。丁度、昨日夕刻、鳩山が菅に辞任要求をしたと聞いていたからだ。しかし、それを菅が飲むとは思えなかった。
 
が、しかし。菅はやはりヘタレ。実より名をとったということだろう。対決を避けた。
 
大量の造反者を出して、内閣総辞職に追い込まれる屈辱、その後、政界での居場所はなくなる。それを避けるには辞任しかない。辞任を宣言すれば、情勢が変わるのは必至。辞める奴に石を投げることはさすがにできない。虚栄とはいえ、勇退となる。
 
見捨てられた総理になるか、勇退となるかは、その後の政治生命も左右する。それを斟酌して、菅は一番万人受けする道を選んだ。実より名をとったとは、そういうことだ。
 
しかし、このへタレ戦法、見事に自公の思惑をひっくり返した。小沢のもくろみも結果的には粉砕した。そして、この動きを影で演出していた連中の思惑も。
 
菅はキレると暴言、暴挙に出る…マスコミなど大方がそう読んでいたようだが、オレはそれほど気概と真のある男だとは思っていない。向きになって、渦中にハマるだろうと計算していた連中の思い違いということだろう。オレも菅が固くなに辞任は否定すると思っていた。

しかし、結果はどうあれ、いまのこの国の政治家の愚かさや浅薄さが人々の目に見えたのはいいことだろう。これは自公、民主いずれもだ。自分たちが信じてきた政治ではダメなのだということを、どこかしっかり実感できたはずだからだ。
 
同時に、FBのスレでもそうだが、これからの政治や制度に対するいろいろな意見が噴出した。それは、オレたち自身がどういう国、政治、社会、地域を目指すべきかをオレたち自身にはっきりさせてくれた…と思う。

復興作業の遅れやその後の生活支援の遅れ…これを生んでいるのは民主党だけではなく、要はいまの政治や政治のしくみ、制度のあり方そのものなのだ。
 
仙台では、避難所にもいられなくなって、路上生活をする人たちが出ている。避難所生活が耐えられないという人、避難所がなくなると行き場のない人というのが、これからもっと生まれてくる。生活のために、風俗などに流れていく女性もいないとは限らない。
 
企業の倒産件数は131件。被災地は13%。全国に連鎖倒産の津波が起き始めている。

そういう時代のそういう国で、オレたち市民がどう考え、何を目指して行動すべきなのか。いままでの政治に依存し、その枠組みの中で物事を考えるのか、そうではないのか…その問いと答えが、今回の永田町芝居が教えている。