雨あがり
全国でチェーン展開する焼鳥屋だが、二人以上の客は部屋割り式のスペースに座れるから、落ち着いて焼鳥が食べられし、話もできる。廉価ながら、スタッフの対応もいい。それが気に入っている。お薦めは、「鳥ひつまぶし」。
名古屋で有名な「鰻のひつまぶし」ではなく、それを鳥でやっている。鰻が苦手な人でも、これならいけると思う。それにおひつにたっぷりだから、食い応えもあり、ドリンク付き。それで、なんと、一人880円!
それをぱくぱくやりながら、沖縄旅行の話を聴く。否、正確には、沖縄旅行でなく、沖縄のホテル暮らし
「ホテルで働いている人とはお話したりしたわよ」「同じ宿泊客とも」。あの…。それって、地元の人とふれあったっていわないから…。「それだったら、別に北海道でも、東北でもよかったんじゃない?」と、また、余計なことをいうオレ。
貧乏性で、どこにいっても何か目的意識を持って時間を過ごさないと、時間をもてあましてしまい、飽きてしまうオレなどには、とても考えられない。
沖縄といえば、海。マリンスポーツ。何かをやろうとすれば、自然と地元の人とふれあうことになる。それで、地元の人の生活をのぞくこともできる。まして、高校生のときから、沖縄にひとしおの思いがあるオレは、ホテルでじっとしているなど罪悪感に駆られて、できるはずもない。その場で、ハラキリだ。
ま、その話は沖縄に行く前に話したから、蒸し返すこともない。そういう時間がきっと、濃姫は過ごしたかったのだ。それで、ほっとし、癒され、元気になれるのなら、それでいい。
次回は、ぜひ、ヤモリの這う民家を丸々借りて、地元のおじさん、おばさんと泡盛と島らっきょうで盛り上がってもらいたい
小雨がぱらつき出した頃、事務所に戻り、映画のストーリー原稿を書き、夜、ハンナのばばあの店へ。話題になるのは、最近デビューしたTさんのこと。もし時間があればと電話を入れたが、秘書業務だから何かと忙しいのだろう、連絡はつかなかった。就活のお手伝い、オレにできることは精一杯やらせてもらおう。
ハンナのばばあ、本当に、本気でTさんのことを心配している。ばばあの思いになんとか応えてやりたい。
この世の中、ほんとうにいろいろな人がいる。いろいろな人生の生き方をしている。
それを、どこか遠くでみつめながら、人の幸せを願っているオレとばばあの二人だけの時間。もっと互いに若ければ、きっといろんな活動に一緒にチャレンジできただろうに…。
一雨ふって、雨上がりの涼しい風の中、そんなことを思いながら、ハンナを後にする。