秀嶋賢人のはてなブログ

映画監督・NPO法人SocialNetProjectMOVE理事長

ハンナと村娘

曇天ながら前日の春一番のなごりのある温かな陽気の中、2・26事件殉難者慰霊祭へ。

今年、75回忌の法要。この日と主要メンバーが処刑された7月12日は、いつも夜、ハンナのばばあの店に顔を出す。と、決めている。

ハンナのばばあは、インテリジェンスが高いし、高齢でも修学意欲が驚く程高い。そして、いまの世の中のあり方や男気、女気のていたらくに、一言ある。それに戦前の日本人の美しさや精神性の高さを身をもって知っている。アメリカの世界戦略嫌いは、オレと同じ。

お互いの話は、いつも噛みあわず、好き勝手に自分のいいたいことだけを言い合っているオレたちだが、いまの世のあり方に物申すという点は、一緒だから、噛みあってないようで、噛みあっている。

いつもは、ひとりカウンターにすわり、ばばあと慰霊祭のことやら、74年前の今日のことやら語る。オレが住む乃木坂界隈は、いまは見る影もないが、2・26事件の舞台となった場所で、ばばあはそのこともよく知っているから、慰霊祭のたびに、改めて感じるオレの義憤は、ここで覚ますのが一番いい。

そんな夜に、前日、青山村正式デビューを飾った、村娘Rを連れていく。ネーリストのK同様、ハンナのばばあの話をしたとき、興味がありそうだった。

例によって、村娘に毒舌を飛ばしながら(笑)、語る語る。語りながら、ふと、この日の夜に、だれかと一緒にハンナのばばあの店にいるのは、数年前までよく飲んでいたプロデューサーの東海林秀文以来だったことに気づく。

きっと、村娘の人柄だろう。奴は、人の心を疲れさせない。鋭くオレに逆説教などもするのだが、それがささくれていない。不思議な浸透力がある。こいつなら、この夜に、あらぬことでオレを疲れさせない、と読んだオレの読みは正解。

なんてことで、気を遣うこともなく、いつになく、真澄をガンガン飲む。

そのうち政治の話になり、オレが例によって叫んでいると、初めて店に来たという初当選の民主党衆議院議員Iさんを紹介され、その支援者である同伴の女性を紹介される。これが奇遇。

民主党の幹部連中に知り合いが多いこともあって、その話で盛り上がり、すぐ近くの閉鎖寸前の議員宿舎にいるということで、オレの主宰するミニシンポに誘う。Iさんは農業をやっており、棚田の整備事業などで実績を上げてきた人。シンポのネタには事欠かない。数年前は、いま文部科学副大臣をやっている、民主党の英才、S議員にも登場してもらっている。

同伴の女性は、聞けば、かつて転形劇場で女優をやっていたという。ということは、オレが大学時代に観た舞台に出演していた。「白い巨塔」の解剖医の渋い演技で、再注目された品川徹などと同期。まして、主宰者の太田省吾は、鈴木忠志の影響を受けて、能楽の世界を取り入れた舞台で岸田戯曲賞をとっている。

最近、世阿弥を勉強している村娘との、これまた、不思議な符号。

なんてことで、またまた飲む。

気づけば、せっかくいただいた千葉、加茂川の美しい棚田の写真と女性の名刺を店に置き忘れており、後半というか、ずっと村娘Rをボコボコにいじめていたらしいことにも、気づかず。その記憶が断片的。

前日、六本木の喧騒の中で飲んでいたせいもあり、心の糸がゆるみ、ほどよくほぐれた夜。

村娘いわく、オレは、「チェ・秀嶋56歳の革命」の革命家でもあるが、実は「シャイでかわいいポニョ」だそうだ。それは、体型か?

器具に頼らない運動こそ、人間の本来の運動なり。加圧など決してやるものか。