秀嶋賢人のはてなブログ

映画監督・NPO法人SocialNetProjectMOVE理事長

歪な風景

どうも世の中、おかしい…。
 
昨夜は、ワールドカッップの日本初戦でカフェや飲食店では、ここぞとばかり観戦フェアを企画し、サラリーマンやOL、学生など、平日の夜なのに、ずいぶん遅くまで盛り上がっていたらしい。
 
こうした国内的なイベントや海外でのプレミアムなどに多くの日本人が集まり、一時を楽しく過ごす姿がある一方、経済動向指数は低迷し、企業倒産件数は増えている。解雇や離職で、定職のもてないまま、不安な昨日、今日、明日を過ごしている人がいる。
 
よく、右派系の経済学者やアナリストが、日本は餓死者もなく、ホームレスが少ない分、まだまだ豊かな国なのだと批評する。確かにアメリカやイギリスの失業率は7%という高い水準だし、ホームレスも多い。
 
だが、それは詭弁で、先進国に比べて失業率が低いのは、雇用促進事業の一環として、人件費を公的資金で肩代わりし、退職勧告したまま、社内保留にしたり、非正規雇用の採用で、雇用減が数字の表に現われていないだけ。非正規雇用や不安定雇用を上乗せすると、実体は欧米並み。
 
しかし、それよりひどいのは、自死(自殺)者数。先進国家中トップであるばかりでなく、3万人強の内、5分の1が、解雇や離職、再就職の困難さに伴う問題を原因に亡くなっている。
 
倒産、解雇、そして、3万人もの自死者を生みながら、イベントやプレミアムに集い、賑わう国…。イベントなどを楽しむことが悪いといっているのではない。その歪な風景があることがおかしいといっているのだ。
 
かつてと違い、巨人が日本シリーズで優勝したから、日本サッカーが勝ったから、で、景気も人々の不安も解消するほど、いまの経済も社会状況も脳天気ではない。一時のにぎわいがあっても、すぐしぼむ。足腰が本当の意味で強くなってないからだ。
 
どうも昨今は、一時のブームやノリで、空元気、空騒ぎをすることで、状況をごまかそうする傾向が強い。それで、景気や人心が本当に明るくなるのならかまわないが、こうしたときこそ、じっくり、しっかり足腰を鍛え、数年先へ向けたことをやるべき、考えるべきだと思うのだが…。
 
とはいえ、参議院選挙や子ども手当て支給のあおりをうけ、オレたち行政、教育関係の仕事で生きている人間や会社も、きつい時代。戦略や手立てを見直す姿勢が他人事ではなく、求められている。