秀嶋賢人のはてなブログ

映画監督・NPO法人SocialNetProjectMOVE理事長

政権引継ぎ

政権引継ぎに手間が掛かり過ぎている。

本格的な政権交代が実質、初めてということもあり、また、自民党内の動揺とゴタゴタもあってのことだろうが、政権引継ぎに一月もかかるというのはどういうものか。

拙速はいけないとは思うが、今回は、補正予算の組みなおしの話もあり、官公庁は様子見の状態。来年度予算のための陳情もある時期。それらの作業が、すべて止まってしまった。無理くりは1日に発足した消費者庁くらい。

官僚もさることながら、県市町村の自治体も、予定されている執行予算が、変更になる可能性が高いとなると、予算そのものの執行を一時、見合わせるということが起きかねない。

リーマンンショック後、中小零細企業は、なんとか資金繰りを工夫しながら、持ちこたえている。実質的な失業率が表に出るのは、政府の雇用対策資金がつながる今月一杯。予測では、8.8%という数字が出ている。それにあわせ、企業倒産も増えるのは必至。

そうした時期に、予算が止まることが、どういうことを意味しているか、旧与党、新与党、もっと自覚を持つべきだ。自党内の意見調整や他党との連携ばかりに眼がいって、政治家はもとより、マスコミも、政界の動向ばかりに気がいっている。

足元の失速しかけている経済情勢に、速やかに対処しなくていは、今年後半、そして年度末に、さらなる、大不況が来ることだってありえるかもしれないのだ。

大手企業や中堅企業など、いわゆる勝ち組に乗ってきている連中はいいが、負け組みに放り出されてきた、企業、地方、個人は、大変なことになる。その波はじわじわ寄せてきている。

かつて、亀井静香自民党時代、大号令を出し、野党の反対を押し切って、中小企業緊急融資を実施したことがある。業績のいかんにかかわらず、とにかく、月次売上げの3倍を上限に疲弊した中小零細企業に優先的に融資を実行せよというものだった。

あのときの施策が、バブル以後のどん底不況に苦しむ日本経済の底上げをしたのは確かなのだ。焦げ付きや不良債権化するものもあったが、救済のためには、それも織り込み済みで、実施した緊急対策だ。

いま、民主党がやらなくてはいけないのは、そうした中小零細企業の下支えだ。それなくして、経済の立て直しもできないし、福祉や年金の問題を改善していくこともできない。人々が最低限、生活できる地場を確保しなくては、福祉に使える金も、年金の支払いもできないのだから。

この一ヶ月の政治の空白が、今年後半の経済情勢に大きな影響を与えるという危機感が薄すぎる。

国民生活が第一ならば、議論にばかり時間をかけず、首班指名後の経済対策をいまから打ち出し、止まっている執行予算で、差しさわりのないものは、どんどん動かさせるべきだ。

そこまでのイニシアティブをとってこそ、新しい政治の枠組み、政界の枠組みも見えてくる。