秀嶋賢人のはてなブログ

映画監督・NPO法人SocialNetProjectMOVE理事長

ケジメ

京女のKさんから、ご丁寧に昨夜の出会いの御礼のメールをいただく。秀嶋組関係の役者も見習ってもらいたいものだと思う。

メールの文面から、わずかな出会いも大事にしようという思いが伝わってくる。女優さんは、何かと誘惑や面倒な誘いも多いから、信頼できる付き合いのできていない中、個人の連絡先を安易に教えるのはどうかと思うが、サブメールで御礼の一言を伝えるくらいなら、安心だろう。

本人に毅然とした心構えと高い志があれば、そうそうにつまらないことにはならない。それができるのは、仕事を求めながら、仕事を追いかけていないから。いい人と仕事との出会いを大切にする思いがあれば、それができる。

大切なのは、だから、その人の心のケジメの付け方だ。

役者に限らず、どんな仕事でも、追い詰められたり、苦難にあると、人は、仕事や金を求める。確かに、仕事や金は大事だ。しかし、ただやみくもに、それを求めれば、簡単に得られるというものでもない。

とりわけ、オレたちのように、人の心を描く、表現者として何がしか、他者へメッセージを発信するという仕事は、そうだと思う。

物理的な何かを追いかける前に、自分の仕事術や能力を磨くことが先だ。オレでいえば、せっせと作品を書き、つくるということ。

ところが、このところ、引越し作業に気をとられて、仕事が中断してしまっている。

わずか30秒のところに移転するのに、これだけの費用と手間がかかるのかと、改めて実感。十年前に、やはり乃木坂の別のオフィスから移転したときは、もっと簡単に処理できていたような気がするのだが…。

以前は、身近にアシスタントがいたからだとも思うが、所帯道具のほとんどは、最初からいまの事務所にあったから、今回ほど、片付けが大変ではなかったのもある。ある意味、十年前と違い、今回が本当の意味での移転なのだと、手配するものが具体的になってくるほどに、より実感する。

2月の節分前までに大方、移転に伴う作業を終わらせたいのだが、登記簿謄本と住民票の新しいものがでないと、できない手続きもあり、結局、すべてが終わるのは、2月中旬になりそうな気配。

中国でいえば、春節(正月)の時期だ。

丁度、その頃までには、今期最後の自主作品になる、女性の人権をテーマにした台本を終え、撮影段取りに入らなくてはいけない。

ここに暮して、12年。女性の人権への思いが足りなかった12年でもあったなと、ふと思う。この場所にいる間に、台本は書き終えてしまおう。それが、いろいろなことへのひとつのケジメのような気がしている…。