秀嶋賢人のはてなブログ

映画監督・NPO法人SocialNetProjectMOVE理事長

裸の王様

昨日のTBSのニュース23に各党代表者が登壇し、衆議院選挙へ向けた政治課題について、それぞれの意見を述べていた。BSフジのプライムニュースでも、各党代表者ではないが、主要な政治家が登壇して同じような討論をやっていた。
 
 
支持する政党や政策は、人それぞれだろうが、どうひいき目に見ていても、明らかに詭弁を弄しているのは、自公側。道理にかなうことをいっているのは、民主党ではなく、その他の野党だった。

政権を担う側は、これまでの政策実績はまちがっていないとするし、効果もあがっているという。物議をかもしてまで強行した政策や閣議決定には、その先のことで不満に対処するとありがちなはっきりしない回答をする。
 
当然ながら、政権側にいない人々は、そうではないと否定するし、賛同したとしても、なにがしかのイチャモンをつける。
 
この構造は、もし、いまの政権が逆転しても、同じことが起きるだろう。現実に民主党政権時代は同じ現象だった。
 
つまり、政権を動かす側と動かされている側は、常にそうした位置関係と立ち位置にならざるえないということだ。

だが、いまの国民感情や生活の実状。それは、福島の実状を含めて、本当に理解している各党代表はひとりもいなかった。一番それがなかったのは、残念ながら、自公の代表二人だ。
 
問題はそこだ。自公の代表二人にそれがないことではない。多かれ少なかれ、各党代表者が、国民生活の実状をわかった気になっていることだ。
 
自公の二人がもっともそれがないのは、政権にいるため、官僚やシンクタンクからもらった資料や彼らから伝え聴いたことしか見ていないし、知らないからだ。官僚やシンクタンクが実状を知るわけがない。
 
また、現地視察を何回やっても、滞在時間があの程度では何もみえはしない。

説明をするのは東電や中央官庁の地方事務所の担当者や行政の長。国の予算を少しでもわが企業、地域へと思っている人たちは、厳しいことはいわない、伝えない。

意見や討論の様子をみながら、この人たちは「裸の王様」なのだ…と思った。そう思うと、腹立たしさより、哀れさの方を強く感じた。

官僚たちや既得権を守る人々に政治献金や支持をもらい、結局は自分の眼と耳と頭を使っていない。あやつり人形のように、政治という芝居をやっている。演じらされながら、それがあたかも自分の意志や決意や考えと勘違いしている。人間的な弱さ、私は優秀な政治であるという虚勢に付け入られているからだ。

今回の選挙、投票率が悪いと予想されている。強引な年末選挙。60億円以上の国税がつかわれる。それが民主主義のコストと愚かしい詭弁をいう。冗談ではない。
ここでやっておかないと経済が失速したとき、政権が維持できないからだ。
 
ここで安泰なら、あと4年も好き放題がやれる。
 
 
裸の王様たちばかりを見ていると、選挙にいく意味を見いだせないのはわかる。
 
だが、その消極的否定やどうせ同じなのだという諦めは、すぐにあなたに帰ってくる。今日、古い付き合いのデザイン事務所の社長と話していたら、途轍もなく景気が悪い、事務所を移転してコスト削減しないとやっていけないと語っていた。
 
私の回りには、そうした零細中小企業経営者や仕事にあぶれている若い人がたくさんいる。こうしたツケが来たのは、ただ経済がよくなればという選択ばかりをしてきたからだ。
 
経済も大事だが、それ以上に大事なことをこの国の人たちは忘れかけている。