秀嶋賢人のはてなブログ

映画監督・NPO法人SocialNetProjectMOVE理事長

中野ブローウェイ

午前10時から、東京家庭教育研究所の公開講座に参加。もう22年も続く、東京、中野サンプラザでの講座。
 
10年以上、研究所とのお付き合いもあり、オレの本の監修協力、販売にも尽力していただき、所長の丸山先生とは何かと意見交換もしているが、講座そのものを受講したのは初。
 
どういうわけか、初めて、「受講しませんか」とスタッフの方に声をかけていただいた。ならばと、別に誘われていた社会人セミナーをお断りし、素直に参加させてもらった。
 
いってみると、一受講生なのに、講師控え室に案内され、あれこれ気遣いをいただき、昼食まで研究所のみなさんとご一緒させていただいた。他の受講生の方々に申し訳ない限り。お心遣いに感謝。
 
後援は、文科省、東京都教育委員会ユニセフ。30年以上、親子、夫婦の問題に取り組んできた実績だ。
 
講座の最後に、質疑応答があったが、どのお母さんたちも子育ての悩みを抱えている現実を改めて、教えられた。やはり、不登校、ひきこもりの子どもを抱える親の悩み、進級進学に対する悩みなど、変らない問題がそこに横たわっている。
 
親は、子を愛するがゆえに、過度になる。過干渉、過保護、放任…。その感情が生む、言葉の暴力、身体的な暴力、無視。そのどれにも子を愛するがゆえに生まれる過剰さと過剰さに疲れた突き放しがあるのだ。
 
いまの時代、おだやかな心で子どもと接するということが難しい。親にも、夫婦間の問題や嫁姑問題、あるいは、不況の中での暮らしの糧を得るという苦労がある。子どもは子どもで、みんなと同じでなくてはいけない、いい子でいなくてはいけないという圧力と将来不安がある。それが親への反抗にもなる。
 
裕福であれば、起きない問題でもなく、貧しいからといって起きる問題でもない。だれにでもありえ、だれにでも起こりえる問題。それが、家庭の問題だ。
 
丸山先生の講義を聴きながら、改めて、自分自身の身を振り返られた。そして、しまったと、思った。以前、子育てのことで相談を受けた、Oちゃんも誘えばよかった。うちのマンションに事務所を構えるCさんもそうだ。
 
参加してくれたかどうかは別にして、オレの身近で家庭のことでいろいろ感じたり、考えている連中にも声をかけるべきだった。同じ子育てや夫婦の悩みを持つ人同士がぶっちゃけ話のできる場があれば、オレが相談に乗るより幾倍もいいアドバイスがえられる。
 
申し訳ないことをした。という思いでいっぱいになる。
 
帰路、久しぶりの中野。学生時代、劇団時代、暑い四畳半の部屋を逃れ、戯曲を書くのによく通っていた、名曲喫茶「クラッシック」がまだあるだろうかと、中野ブロードウェイ(いまはサンモール)の路地をのぞいたが、やはり、店はなくなっていた。
 
あの五木寛之も学生時代通った店で、オレが学んだW大の学生、卒業生には有名な店。オレは、その店で、パッヘルベルのカノンを始めて聴いて、感動した。芝居にも使った。数年前、そのカノンをやたら韓国映画が使っていて、同じテイストに苦笑いしたのを覚えている。
 
学生時代の恋も、その店と無縁ではなかった。
 
恋愛、結婚、子育て…。当り前のことをやってみたが、その当たり前を最後までやり遂げることができなかった自分を思い、慙愧の思いにかられた夕刻の中野。
 
どこかで、カノンが聞こえたような気がした…。