秀嶋賢人のはてなブログ

映画監督・NPO法人SocialNetProjectMOVE理事長

天地人

「天の時は地の利に如かず地の利は人の和に如かず」。孟子の言葉だけど、「天地人」という言葉でよく知られているよね。

人の和という言葉は、よく使われる言葉だけれど、ぼくがほとんど使わない言葉のひとつ。人の和とは言うに易く、行うに難し。そう簡単なものではないと知るからだ。簡単に使われ、容易に壊れるもの。それが人の和。

それを承知で、人のつながりを力にする。そこには知恵もいれば、配慮も計算も、そして忍耐や寛容、場合によって主張も理論も意見も、決定的には行動もいる。

福島をやっていて、痛感し、学んだことは、そのことで、また、それを実践している稀有な人たちとも出会ってきた。

とりわけ、この二年ほどの間に、出会ったお二人の元行政マンの方たちは、バランス感覚という点でも、また、人の和を創造するために、自ら行動するという点でも、教えられることが多かったし、いまも学ぶことが多い。

仕事にせよ、勉学にせよ、日々の暮らしにせよ。つつがなく、そつなく生きることだけを考え、何事もない日々にしようと思えば、できないことではない。

与えられたこと、やらなくてはいけないこと、それをルーティーンとしてやっていれば、それで非難や批判を受けることはない。そこから脱落したり、逸脱しなければ。

だが、よりよく、より深く、より広くと考え、探求し、追求し、実現しようとすれば、やれること、できることは次々に現れる。それをしないままでいるか、やろうと努力するかは大きな差になる。

自分自身、喜びのある日々をつくれるか、つくれないかの差もあるが、それ以上に、人々に喜ばれ、喜びをつくるという貢献でき、それが社会に貢献できる、役立つ道を歩めるかどうかの違いを生む。

ぼくのように、自分の歩きたい道をどうしても行こうとする生活を選んだ人間ならまだしも、行政や組織といった縛りの中で、それを周囲とのバランスや調整を図りながらやるというのでは、苦労も配慮も、また一味違う。

その違いを感じさせてもらえるというのは、出会いの楽しさでもあり、また学びにもなる。いろいろに違いがあって当たり前。その中で、人の和という理想を捨てない。捨てないというより、そうあるために自分も人もそうあるための努力ができる道を探り続ける。

それには、バランスよく人と付き合える力がいると思う。そう。それは力なのだ。まさに、天地人

一昨日、昨日は、それを改めて感じさせてもらう二日とは思えない、濃い旅だった。冗談をいい、軽口をいい、議論もし、語り合い、けれど、同じように、新しい明日が来ると信じて、次を目指す。

ぼくには過分な出会いをもらったお二人と旧友のように感じている会津の友人といい時間を過ごさせてもらいました。ありがとうございました。