秀嶋賢人のはてなブログ

映画監督・NPO法人SocialNetProjectMOVE理事長

涙が心に溜まっていく

明日で震災から5年…。

それは、私にとって、地方や地域のあり方、社会のあり方、国のこれから、世界のありかたを人の姿から考え、学び、行動し、そして、また考え、行動する5年だった。

それまで学んだ知識や経験で生かせるものを総動員する5年だった。

それはまた、人の死やいのち、そこにかかわる人の思い、願い、悲しみ、挑戦と出会い、考え、行動する5年でもあった。

そして、また、乱にある、人の世の不条理や理不尽さ、人間の邪さ、狡猾さ、いかがわしさ、うさん臭さ、虚栄心や鈍化さを目の当たりにする5年でもあった。

そして、同時に、それらをひっくるめて、人というものの、いのちというもの、出会いというものの、悲しいがゆえの尊さも教えられる5年だったのだ。自分の非力さと未熟さと幼さと向き合う5年だった。

涙が心に溜まっていく…。感動の涙も、うれしい涙も、悲しみの涙も、悔しさの涙も。一言で言いあらわせないために、ただ、ただ、心に溜まっていく。そんな5年だった。

その中で、普遍的ななにかを得ようともがいていた。そして、いまももがいている。

だが、あのころ、盛んにいっていたことは、いまも一つも変わらない。この世界に生まれてきてよかった。この国に、この地域に生まれてきてよかった。だれもがそう思える社会を少しずつでもつくることだ。

亡くなった人たちが、もう一度、そこに生まれてきたい。そう思える、世界、国、地域、社会、家庭はなにかを探すことだ。

震災だけではない。私たちがいまこうしてある、いまの暮らしをつくってきた、すべてのいのちにそうあろうとすることだ。そして、次を生きる人たちのために、なにができるかを考え、行動することだ。

そのことに真摯であれば、いまある矛盾や不条理や理不尽さだけを相手にするのではなく、涙を心に溜めながら、自分ではない、なにかのために生きようとできる。

少なくとも、私は、福島と出会い、周囲をはらはらさせ、困惑させながら、そうやって生き延びてきた。そう思っている。