秀嶋賢人のはてなブログ

映画監督・NPO法人SocialNetProjectMOVE理事長

状況を読め

状況を読め…。そう教えられたのは、子どもの頃からだ。役をやると、その言葉の意味が体験的にわかる。組織や集団における責任者、あるいは子どもや家族を持つと、それがわかる。

武道でも、集団スポーツでもそれが求められる。状況を読めない人というのは、武道も集団スポーツの経験がない人も多い。

自分のかかわりを持つ人々に、責任を強く感じるからこそ、その品格と立場を考慮し、自分の挙動に責任を持つようになるからだ。

いまは、この状況を読む教育が薄入れているか、なくなっている。

状況を読むのは、何のためなのか。仲間や組織から孤立しないため、保身のためなのか。あるいは、自分の意思を通し、自分の存在価値を他者に伝えるためなのか。より有利な条件、より都合のいい立場、地位をえるためなのか。オレにはこんなに知識があるぞと、たいしてない無知に等しい知識を自慢したいからか。

状況を読むのは、自分のためであると同時に、他者のためだ。自分がかかわりを持つ他者のためであり、自分が帰属する社会や組織、集団のためのものだ。あるいは、守るべき家族のためであり、妻子や夫子のためや両親、親族のためであるかもしれない。

状況を読まず、ただ、自分本位に、都合のいい状況理解をし、それがもっとも最適の状況とする。本当の意味で、自分や仲間、家族、社会のおかれた状況が読めず、責任がないがゆえに、自分本位の都合のいい状況の歪曲理解をする。

状況が読めないそうした人たちは、自分が状況を歪曲して理解していることにも気づけない。歪曲した者の集まりの中で、自分たちの状況理解は普遍的なものだと息巻く。

安保法制は、アメリカの状況理解をこの国の常識としようというものだ。だが、わらってしまうのは、まさに積極的平和主義をやる、このアメリカがもたらす状況理解は、第二次世界大戦以後、やすむことなく戦争をし続けていることだ。

まして、アメリカの状況理解は決して世界の基準でもなければ、戦争を続ける国として、国民の安全、安心の象徴である平和とはまったく無縁な存在だ。

憲法を放棄するとは、主権を放棄することだ。それをしてまでアメリカに迎合する。
そこには経済を軸とした身売り政策が背後にある。だが、それはこの国を属国どころか、アメリカの従軍にする道だ。

状況を読めない人たちが、反対する人たちに誹謗中傷を投げ、 下劣で下品な民族差別の言葉を吐き散らす。冷静に議論しようとしているのは、どちらかは、多くの国民の意志が示している。自分が使う言葉の下劣さに気づけないのは、本人だけだ。

だが、それに気づけないほど、状況の読めない人が肩で風切る、この国。

しかし、それは、放射能汚染がひどいと現実の福島の状況理解、状況を読むことをせず、妄想のまま、福島の土地すべてが汚染され、子どもたちやそこに生活する人の多くが放射能の被害によって病魔や健康被害が出ているというデマを流す人々の状況理解とどこか違うのか。

福島で子どもは育てられないと個人の不安から、自主避難先で、福島は危ないと鎖叫ぶ人間とどこかが違うのか。

福島のものは、こわくて食べらないという人間とどこか違うのか。