秀嶋賢人のはてなブログ

映画監督・NPO法人SocialNetProjectMOVE理事長

スーパー金持ちさん

世界の最富裕層、いわゆる超スーパー金持ちさんは、2016年の来年には、世界の資産の約5割近くを占有するとみられている。その人口比率はわずか1%だ。

世界の人口のわずか1%の人たちが、この地球にある資産・資源の半分を持つということは、いかようにも政治経済を操れる人がいる一方、豊かさを実感できる人々はほとんどいない状況が世界に広がっているということを示している。同時に、残りの5割の残されたパイを奪い合う、苛烈な争奪戦が生まれている。

超金持ちというのは、かつては、日本人にとって遠い話だった。世界に伍する資産家など日本にいない。それはアラブやユダヤ、欧米の特権階級や資産家のことだ…そう考えていたからだ。

だが、超ではなくても、いわゆる富裕層の数は、この数年、他の国を抜いて日本で急増している。つまり、富裕層のいる先進国や資源国並みに、貧富の差と生活格差がこれまで以上に広がりつつあるということだ。

2013年の民間の調査で、日本における富裕層の数は人口の20%強。少ないと感じるかもしれないが、対人口比率でみると、アメリカの16%強を越えている。ちなみに、数の順位からいくと、1位アメリカ 2位日本 3位ドイツ 4位中国 5位イギリス、以下、フランス、スイス、カナダと続く。

健全な資本主義の発展には、じつは富の再配分が欠かせない。限りあるパイを極端な形で一部層に集中させると単に格差が生まれるというだけでなく、健全な資本主義の発展を阻害するからだ。

だが、近年の自由市場主義経済は、この地球から資源や実態のある資産の大半を寡占化した。食いつぶしてきた。つまり、残されたパイが資本主義の歴史始まって以来、わずかになり、限界がきているのだ。

それに代わってマネー経済、貨幣相場や株を中心とした実態経済とは別のところで資産が流動している。数字をどう流動させるか、そして、それをどう予測し、読み込むかが資本主義の限界を広げるものとして当たり前になった。

これに便乗する、いかようにも政治経済を動かすことで数字のマジックをコントロールできる人々の輪の中にいることが重要になった。もし、最富裕層がつくる世界の枠組みにいないと、国の経済も安定しない。もちろんそれは、一部の資産を寡占化できる人々の国の安定だ

この世界の一部がつくる経済の枠組みとそこにいないと脆弱化した資本主義国家や稚拙な政治家のいる国は奈落の底に落ちる。それは同時に、権力の座からすべり落ちることを意味している。

日本の株価を支えているのは海外の機関投資家だ。もし、この世界の一部の最富裕層を背景とした機関投資家や資産を意図して流動させられる海外の力がなければ、すでに、この国は大不況、株や貨幣の大暴落を起こしている。アベノミックスを見ればわかる。なにひとつ根幹の経済政策はなく、これに依存した景気対策でしかないからだ。

そこにつけいられて、アメリカやイスラエルと一体化する道を選んだ。軍事産業を含め、経団連もそれを後押しをした。防衛族は当然、潤う。政権も潤う。そうなると、立憲主義を無視してでも、筋のとおらないたとえをいってもでも、とにかく、なりふり構わず、安保法制を通す。対IS 対中国は、軍事安全保障予算を動かす格好の材料に過ぎない。

自己矛盾は最初からなのだ。確信犯として、安保法制を立案し、強行採決した。それはひとえに、現政権や現政権といれば、世界の1%になれるかもしれない、その道を道理に反しても歩きたいという人々によってだ。

私が、安保法制がいう軍事安全保障は、じつは、富の安全保障なのだという理由はそれだ。