導火線
私は生来、怠け者だ。一生懸命とか、ひたむきにとか、ひたすらにとかいった生き方や暮らし方を好んではいない。
大学時代に一度は、学者や研究者の道を選ぼうとしたくらいだから、好きな研究や学術の世界にいられれば、多くの人と交わらず、自分のためのだけの閉じた世界にずっといることも、じつは苦ではない。
かなり前、ある女性に、「孤独に強い人はこわい」といわれたことがある。孤独に強いかどうかはわからないが、孤独である時間は苦にならない。
当然ながら、そんなひとり遊びができる人間は、経済の問題がなければ、いつまでもひとり遊びを続けていられる。本もあれば、映画やドラマ、芝居もあれば、美術も、音楽も、ひとりで楽しむことができる。
まして、自動車免許はもちろんだが、小型一級船舶免許があるし、乗馬もやれる。運動は観るのも、やるのも好きだ。
料理は得意で、掃除、洗濯も大好きで、風呂好きときたら、ひとりだからと部屋がごみ屋敷になることも、栄養失調になることも、からだが臭くなることもない。
ほぼすべてのことがひとりでできれば、自分の好きなことに没頭し、閉じた世界から宇宙を覗き見ることだってできる。
ほぼすべてのことがひとりでできれば、自分の好きなことに没頭し、閉じた世界から宇宙を覗き見ることだってできる。
そういう人間は、基本的に怠け者で、一生懸命とか、ひたすらにとか、ひたむきにとかからは縁遠いものだ。
だが、それをやめてでも、開いた世界から宇宙を見る方が、ずっとおもしろいことを知っている。
残念ながら、そうなると、怠け者ではいられなくなる。一生懸命やひたむきやひたすら…は言葉を含め、決して好きではないが、何事か集中し、向きにならないとできないことが多くなる。
つまりは、よくできていて、私のような怠け者は、あれやこれやと目にするもの、耳にするものにすぐ反応し、思うところ、目指すところがあると、じっとしていられなくなる。おい、おい…ちょっと、待てよ!となる。
心の導火線が人より短く、昔、劇団の男優が、秀嶋はまるで、空っぽのコップのようだ。いつもなにかで満たそうとあがいている。といった言葉通りに、欲深い。
そのおかげで、少しだけ怠け者を返上している。
それにしても、今月は打ち合わせと飲み会が多い。怠け者になって、また体重が増えないように、からだの導火線に火をつけよう。
それにしても、今月は打ち合わせと飲み会が多い。怠け者になって、また体重が増えないように、からだの導火線に火をつけよう。