秀嶋賢人のはてなブログ

映画監督・NPO法人SocialNetProjectMOVE理事長

次の扉

委託事業の手続きが遅れに遅れて、最初の事業開始まで2か月を切ってしまった。

通常の応援学習バスツアーであれば、2か月以上前に諸般の段取りを終えて、募集活動に専念しなければならない時期。

だが、おそらく、初回事業はそうしたタイムレースを強いられると予測していた。先行してツアー参加者の募集を内々に開始していたのだ。

とはいえ、事前段取りがしっかりできていないとこうした学習ツアーは成功しない。受け入れ側の対応準備もあれば、ツアーの意図や目的、ねらいが受け入れ側にも共有されていないと、学習にならないからだ。

ただ、物を売る。ただ、被災地を視察する。それだけであれば、格段、応援学習バスツアーと銘打つ必要もない。

被災地とはいえ、どこかに物見遊山気分があり、受け入れ側が観光客受け入れ程度に考えたツアーは、私にいわせれば、応援学習ツアーとはいわないものだからだ。

また、逆に、大仰に構えて、被災地の悲惨とか、原発事故の実状とか、復興への貢献とか…ああだ、こうだとわかったような解説や理屈を振り回すことも、応援学習とはいわないと思っている。

いつもいうことだが、ただ、受け入れてくれるみなさんの声、言葉、表情に耳を傾け、目を凝らし、その姿の奥にあるものをみつめていれば、自ずと学びが生まれる。課題と真摯に向き合う人には、言葉がある。思いがある。

そのためにも、訪問先の選定と訪問先のみなさんの現状を事前に実施する側が深く学ばなくてはいけない。心を通い合わせておかなくてはいけない。そのために、時間がいるのだ。

とはいっても、タイムレースとなれば、その中でできることをやっておくしかない。

木曜に相馬を回り、金曜にいわき。これまでとは趣も、ねらいもまったく違う、新しい取組のツアー。出会う人も、協力を要請する人も、新しい出会いになる。

昨年中ごろから、考えていた浜の漁師文化、港町文化。そこにある人と食と生活。そこに、じわりと確かな思いで、足を踏み入れる。

それが、次の扉を開けることを私は、確信している。