秀嶋賢人のはてなブログ

映画監督・NPO法人SocialNetProjectMOVE理事長

確かな力

時間が経過しないとわからないことというのが人にはある。経験と学習にも時間がいる。そして、それを知恵としてくのにも時間がかかる。

だが、経過してわかること、経験と学習、そして、そこから知恵を導き出す力は、そのとき出会った人、そのとき示された事象に対して、どれだけ敏感でいられるかで深さも知恵を導き出す時間もちがってくると思う。

短い時間の経過でそれとわかる人、経験を生かせる人、学習を深めることができる人というのは、そのとき、そのときの一瞬を素通りしない人だ。

簡単にいうと、あ!と気づける速さといってもいい。

自分の得や自分に都合のいい選択ばかりしていると、これがなかなかできない。一瞬素通りしそうにながら、それで、小さくでもいいから、あっ…と思いが心をよぎらない。

なにか損得ばかり、自分の都合ばかり、なにかに固執して、自分のことばかりに執着し、慌ててばかりで、先ばかり急ぐ人には、それが見えない、気づけない。

また、自分の中に、出会ったもの、めぐりあった事象としっかり向き合おうという思いもないとそれはできないだろう。

稚拙でも、そうあろう、あるいは、そうあるために自分なりの考えや意見、ビジョンを持って時間を生きようとしていれば、犬も歩けば棒にあたるではないが、そうした、気づきとめぐり合うものだと私は思う。

昨日、仲間のNPOの実績発表会の集まりに顔を出してきた。当然、幾人かの知り合いやつながりのある人たちがいたのだが、その中に、1年以上前から、周囲の仲間たちから、噂を耳にし、ぜひ会ってほしいともいわれ、いずれどこかで会わなくては…と思っていたKくんがいた。

地元や支援団体の間でも名の知られている彼だが、語る内に、互いに鳥肌が立つほど、共鳴した。極端なたとえだが、年齢はWスコアくらい離れているのに、私の考え、行動していること、彼が考え、行動していることの一言一句違わなかった。

簡単にいうと、現場を踏まえた、理念がある。そして、現実的、かつ、普遍性につながる明確なビジョンがある。かつ、確かな現実に落としていくためのアイディアがある。おそらく、足りないのは、大人たちを黙らせるための年齢の嵩だけだ。

いままでに何度か私には経験があるが、まさに同志に出会ったときの心地よさだった。

だれもが、人とのつながりが大事だという。だれもが、日々の出会いを大切にしなくてはと言葉にはする。だが、どうつながっているのか、どうつながろうとするのか。日々の出会いを何のために、どのように大切にするのかで、同じ、大事と大切も変わってくる。

そこまで踏み込まなくては、言葉にも行動にも説得力は生まれない。時間が経過すれば、上っ面なものは剥がれていく。

勢いやきれい事、あるいは情緒や情感だけでは、そこに辿りつけない。

必要なのは、そこにある言葉や思いがきちんと多くの人に伝えられるだけの理念と理論がいるということだ。難しい理屈という意味ではない。思いを思いだけではなく、強く人々に共感させられる、確かな力を持つということだ。