秀嶋賢人のはてなブログ

映画監督・NPO法人SocialNetProjectMOVE理事長

うとましくとも、そう伝えたい

第三回福島応援学習バスツアー。なんとか、多くのみなさんの協力と応援で、中型バスへ変更こそしたが、なんとか、正席定員33席が満席となった。
 
いろいろと御心遣いいただいたみなさん。また、事情を察して、やり繰りをつけて参加いただいたみなさん。本当に、本当に、ありがとうございます。
 
時期が秋最後の3連休。それぞれにプライベートでも、地域活動でも、社会活動でも、あるいは仕事の都合でも、時間を割くことが難しい時期。
 
しかも、中通りは、被災死者、倒壊家屋数など被害が大きかった浜通りほど、人々の関心と興味が大きくない。実際の被害が知られていないからだ。
 
それらを勘案すれば、なぜこの時期にと思う人が多いことも、参加希望で手を挙げてくださることが少ないだろうことも予想していた。
 
当初予定していた、ツアー参加40席。大型バスでは難しいと判断したのは10日。しかし、宿泊だけでも応援参加しようという方が数名現れてくれ、結局、宿泊はバス運転手もいれて、37名まで漕ぎつけた。
 
港区檜町公園での、2012年福島東北まつり以来、お付き合いのある、飯坂温泉佐久商店のおかみさんの紹介で、宿泊がとれない時期に、花乃湯さんがすでに予約の入っていた以外の部屋をすべて抑えてくれた。総数66名分。
 
グループ対応の昔ながらの旅館だから、6人~7人部屋がほどんどなのだ。そのため、ツアーで来る客がすべて順番に部屋を埋められないだろうと、空き部屋をすべて抑えてくれた。
 
その手前、なんとか40名か、それに近い人数で利用させてもらいたかった。結局、37名で、使わない部屋は1室だけ。なんとか整った。

今回に限らないが、このバスツアー、本来なら、どこかのエージェントに依頼すれば、地域行政から補助が出る。港区でもこうした趣旨のものであれば、出る。
 
福島県は、いまも根強い風評被害打破の対策として、助成をして首都圏から農業体験などの観光客誘致を進めている。バスツアーが主体だ。ただ、条件としてはエージェントを通さなくてはいけない。
 
確かに、事前の視察や訪問以来。実際のツアーでの訪問時間調整や費用の検討と交渉…。一方で、集客と集金、保険加入や手続きといった実務…。エージェントに依頼すれば、楽だ。
 
しかも、うちのバスツアーはいつも赤字。事前の準備のための旅費交通費から、告知宣伝費用もかかっている。当日の見えない諸経費などを合算していくと、いまの参加費はじつは、足が出ているのだ。
 
その上、今年からバスの運行費用が距離計算に変わった。相次ぐバス事故への国政からの規制が厳しくなり、ならば、相応の費用がとれる仕組みをつくってくれと業界から強い要望、圧力がかかったからだ。
 
バス費用だけでも、いままでより10万円以上プラスになっている。結局参加者一人あたり、3000円~5000円ほどはMOVEの負担。
 
だが、観光が主体というより、地域を知る学習をかねたツアーとなると、エージェントが提供するような30000円などという金額では参加者は激減する。大手エージェントならば、つながりのある訪問先を使うから、かかる原価も下げられる。
 
だったら、なお、県や行政の助成を頼めばいいと思う。
 
しかし、大事なのは、事前の交渉から途中の折衝やら、雑務に私や私たちがかかわることなのだ。それによって、私たち自身の学びが生まれる。同時に、私や私たちの思いを伝えられる。MOVEという団体がどんな団体なのかを知ってもらえる。

労を惜しんで、それはできない。もちろん、今後、エージェントに委託し、助成も受ける形へ変更しなくてはいけない。おそらく、こうした形で実施できるのは、今回が最後になると思う。規模を大きくしたいなら、旅行業法の規制も受け入れた形にしなくてはいけないからだ。

 
私が福島県内を駆けまわって実施する、最後のツアー…。
 
楽しみつつ、意義があったと思ってもらえればと願う。そして、いま一番、知ってほしい、中通りの姿にふれ、あるべき地域について共に考えてもらいたい。そして、地域の方たちには、小さく、大した力もないながら、こうしていま一番大変なところに自腹で来ようとする人々の姿を見て、自分たちは決して孤立していない…そう感じてほしい。

うとましくとも、そう伝えたい。それが、私の最後の願いだ。