秀嶋賢人のはてなブログ

映画監督・NPO法人SocialNetProjectMOVE理事長

それが人ぞ

戦略や戦術をめぐらす。あるいは、根回しや調整、工作がいる。それを否定しない。

だが、賢く、あるいは、小賢しく、それを当然とし、そして、それに翻弄される時間を私は、もはや、心地いいと思わなくなった。
 
30歳で初めて、まともな社会人として組織に所属し、貪欲といってもいいくらいに、社会に必要な戦略や戦術、根回し、調整、工作を学んだ。
 
それがわずか数年の短期にできたのは、私のそれまでの中に、そうした素地があったからだし、現実にあったと思う。でなければ、どんなに小規模でも取締役にはなれない。
 
それを見ぬいた、経営者には脱帽だし、そのおかげで私は、いろいろなプロジェクトを発案し、実現できたし、また、どこかに依頼されて現実化してきた。年齢に不相応な場の脇にいることもできた。そして、そのおかげで、なんとかこれまで生活したきたと思う。

その分、人のウソやまかやかし、ごまかしを見抜く力がついた。表の顔にはない、裏の表情を察知する力ももらった。世の中の深層にある、邪さも計略も学んだ。もちろん、そこにはいろいろな失敗や敗北もたくさんあったからだ。

だが、それは私にとって、決して、心地よい時間でも、居心地のいい時間でもなかった。ならば、自分にとって心地よいことはなんなのか…
 
結果、自分にとっての心地よいことを求めるから、戦術や戦略、根回しや工作、調整といった、打算ばかりに心を支配されるのだと実感した。

今回の第三回福島応援学習バスツアー。開催時期は決してよくはない。
 
11月22日~24日は勤労感謝を挟む3連休。家族で小旅行や外出を計画している人もいるだろう。学校の発表会や行事。地域の祭りや催事。あるいは、趣味の集まり、恋人や仲間たちとの時間を計画している人もいるだろう。
 
丁度、紅葉の時期…。なにも、福島に震災後の学習のためにいかなくても…そう考える人がいてもおかしくないし、非難する気もない。
 
だが、これまで、私たちのツアーは、残雪が残り、桜には程遠い、会津であったり、師走に入り、忘年会シーズンの始まる繁忙な、それでいて寒さが本格している時期だった。
 
ひとえに、観光が目的ではなく、地域を知る、人を知るためのツアーだからだ。その思いはいまも変わっていない。
 
しかし、今回、郡山周辺の視察でも、福島市郊外の農園でも、また、国見界隈でも、見てほしいもの、食べてほしいものの時期のギリギリがこの時期になった。幸い、二本松市の菊人形展の最終日にもつながっている。

こちらの打算や戦略よりも、その事情や思いを優先した。郡山周辺の農家や生産者の人にとって、きっとこの時期でなくては困る…というのはないのかもしれない。
 
だが、私は、いろいろと予定ある時期だろうが、それがない人には、私が見た、郡山、二本松の現実の声にふれたもらいたい。国見の現実を見てもらいたい。
 
だが、彼らは同時に、自慢したいのだ。その苦しい現実の中でも、遠くから来る人たちに、これがおらたちの、地域の誇りを示したいのだ。
 
ならば、そこに合わせよう。それが、男ぞ。それが、女ぞ。それが人ぞ。