秀嶋賢人のはてなブログ

映画監督・NPO法人SocialNetProjectMOVE理事長

やるべきことはもっと他にある

巨大台風8号が大きな被害を生み出すかもしれない。その報道がこの数日前から話題になり、今日、気象庁も記者発表をした。
 
ところが、この台風の発生と異例の大きさ、そして、それが生み出す被害について、アメリカやオーストラリアなど海外の気象情報では、衛生画像を使い、発生段階から報道され、SNSでも発信されていた。
 
政情混乱が続く北アフリカの実状と避難民の困窮も、イラクにおける反政府勢力の急速な地域奪還も、世界的に広がる生活格差と若年層の貧困化も…アメリカ大統領を始め、世界の主要人物のこの一週間の動向すら…
 
多少の英語力さえあれば、SNSをのぞくと、国内の新聞、テレビの報道よりはるかに早く、知ることができる。

情報を追うことは疲れる。
 
だが、情報を先入観や思い込み、決めつけ、こだわりをのぞいて、サマリーのように俯瞰していくと、自ずと公開前の映画や演劇、美術など芸術情報から、学術研究、政治経済、紛争地の実状、自然状況や自然がもらず被害の現実といったもののある方向や傾向は知ることができる。

また、より、現実的な人々の生活意識や生活課題となっているものも、市民レポートを通じて感じ取ることもできる。以前、紹介したが、fbでは、市井を生きる人たちの関心事や生活を紹介するアメリカやフランスのポートレートレポートがある。

じつは、政治や経済の情報の背後で、生活苦や薬物依存、犯罪といった課題を自ら抱え込み、そこから抜け出した人たちの声や抜け出そうとしている人たちの言葉だ。

それらで世界のすべてがわかるわけではない。
 
だが、いまこの世界が抱える問題、抱えながら解決できていない課題、そして、解決のために進むべき道や方向性がどこにあるかは感じ取ることはできる。
 
にもかかわず、この国では、目の前に台風の危機が切迫してから、つまりは、自国への自然災害が近々になってから、やっと報道各社が情報の優劣を変更して伝える。しかも、国内の視点で、国内の立場で。近隣国の被害やそれによる各国への影響は伝えない。
 
これは、先の集団的自衛権閣議決定やこれにかかわる論争や論調においても、同じことだ。あるいは、被災地の課題とその対策においても同様だ。

それぞれの立場論やそれぞれの閉じた議論ばかりをやり、本来やるべき議論と問題の本質を素通りしている。すべてがギリギリになってやる。時間が切迫して進める。そして自分のことだけに終始する。
 
つまり、準備も事前情報も薄く、また、しっかり世界的広がりを持たないままやるのだ。

物事を見る、見抜く視点、視座のとり方そのものが偏狭で狭窄する。それはここにも読み取れる。
 
朝日新聞は偏向新聞だ、中国の手先だと口角泡をとばす。読売は政権の犬だと激昂する。おいおい。それが大事な議論なのかよ。その程度の対立軸しかもたねぇのかよ。この国の国民は。愚かしい限り。

おかしいことは何なのか。間違っている点はどこなのか。そして、そのおかしいことと間違っていることが人をどう不幸にし、かつ、世界にどのような迷惑と不信を抱かせるのか。そもそも、憲法とは何なのか。やるべきことはもっと他にある。