秀嶋賢人のはてなブログ

映画監督・NPO法人SocialNetProjectMOVE理事長

あるべき人とあるべき活動

特定非営利活動法人Social Net Project MOVEの活動がよくわからない、その活動内容がわかりにくい…という声をいまでも時折、耳にする。
 
設立当初は特にその声は大きかった。
 
なぜか。
 
それは、私たちの活動が、単に復興支援や福島だけのサポート事業を目指していないからだ。あるいは、これひとつ、ということに特化もしていないからだ。
 
被災地に物資を届けたり、炊き出しをやったり、仮設を慰問したり…といった活動は当初から目指していなかった。
 
イベント事業はひとつの取り組みであったが、イベント、お祭り、物販支援がそのねらいでもなかった。情報の発信がその本願であり、イベントを通じて市民の連携、被災地間、被災地内の人々の連携の場とすることだった。
 
応援学習バスツアーも、地域の産品を購入消費で応援することが主眼ではなく、地域を知り、学び、応援者となってもらうことであり、かつ応援者として被災地の自立や自らの地域の自立へと取り組んでもらうためだ。
 
私たちは震災当時から、5年先の被災地と被災地にかかわることで生まれる学習と知恵と工夫を他の地域の再生新生にも生かせる研究活動ととらえていたからだ。

つまり、単に福島を支援し援助するのではなく、共に協働し、福島から学び、かつ福島の自立と独自の地域づくりを都市や他の地方から働きかけ、その研究の成果を福島だけでなく、国内の他の地域、海外の他の地域へと広げていくことなのだ。

だから、いわば純粋に、ただ被災地の支援をと考えている人やただボランティア事業をとか、風評被害打破をとか、NPOとして福島県の人々のサポートをと考えている人々に、私たちの目指すところは理解されにくい。
 
だが、私は確信している。こうした広い視座と志を持った非営利の団体は、国内ではほぼない。具体的活動と成果を求めるあまり、この視座を持てない。また、そのために、本当の意味で、地域の新生や再生に寄与していないことも多い。

今週は連日、来期事業についての検討会。来週の火曜日昼のランチMTGで一応の作業が終わる。そのあとは、報告書と全体会議。
 
今回は福島県出身者で東京在住の方たち数名や度々私たちの活動に参加していただき、MOVEのメンバーで手の足りないところを援助してもらっている応援する会の数名の方にも参加していただいた。
 
いままでになく、大きな成果のある会議だったと思う。そして、改めて、MOVEに結集し、活動に参加してくれている正式メンバーや応援する会のみなさんの質の高さと意識の高さに誇りを感じた。

ある意味、ゆるぎない。ぶれがない。そして、それぞれに明確な考えと主張がある。かつ、組織で社会的なトレーニングを受けてきた人が多い。ゆえに、じつに建設的。
だから、生活意識や政治的立場、宗教的傾向など個人の志向性を越えて、前へ向けて話し合いができる。
 
こんな組織であることに自負と喜びを感じている。思えば、創設のときから、離脱もあったし、また新規参加もあった。直接の活動に、仕事や遠隔地のため参加できない方もいる。仕事の都合で頻繁に会合に参加できない人もいる。
 
志と理想の高さに離れた人もいる。その志と理想を理解できず離れた人もいる。あるいは、深い事情がありながら、言葉にせず、やむなく、去った人もいる。惜しいと思う人もいれば、そう思わない人もいた。
 
だが、MOVEの志と理想がある限り、あるべき人とあるべき活動だけはしっかり残っていく。