秀嶋賢人のはてなブログ

映画監督・NPO法人SocialNetProjectMOVE理事長

一瞬の出会い

人の出会いをどう生かすか。それは簡単のようで容易ではない。
 
なぜなら、自分の我や業、つまり、うぬぼれや身勝手さが人にはどうしても付きまとうからだ。あるときは、損得が絡む場合もあるだろう。それが打算や駆け引きを生み、せっかくの出会いをつまらないものにしてしまうこともある。
 
あるいは、情に流され、互いの出会いを慰めや甘えのそれに変えてしまうことだってあるだろう。
 
とりわけ舞台の場合、俳優にも、スタッフにも、場合によっては観客に対しても、執拗にオレが<一瞬>に厳しいのはそのためだ。映画の場合も同じだが、まだしも、映画は撮り直しができる。だが、舞台ではそれがない。まさに、一瞬の出会いという緊張を上演の度に生きなくてはいけない。
 
映画でオレがファーストカットにこだわり、トラックを重ねないのは、撮り直しがきくからこそ、俳優にもスタッフにも凝縮の<一瞬>を要求するからだ。

いうまでもない。舞台で顕著なのは、観客が違うからだ。その日その日の俳優やスタッフの緊張感や体調、心情も異なるからだ。ただ、演出に言われた通りの芝居をやっていれば事足りるわけではない。同時に、演出も、日々変わる芝居の質と空気、俳優とスタッフの生理を読みとれなくてはいけない。
 
いうまでもない。舞台は、武道や茶道といったものと同じく、すべて一期一会だからだ。そのために、日々の鍛練が必要なのだ。世阿弥曰く、年来稽古条々。常に稽古を怠るなということだ。俳優をアスリートと考えれば、合点がいくはず。そして、これで終わりという終りはない。

だから、いかに著名俳優であろうが、小手先で芝居をやるような俳優は不要だ。まして、未熟さの自覚もなく、修練と学習もないままつくられた舞台は観るに値しない。まったく、出会いを大事にしていないからだ。

出会いをよいものにするもの、よくないもので終わらせるのも、すべて、この一点にかかっている。自分の執着や我や業を捨て、つまらない権威や力を物差しとせず、出会った出会いを次へのかけがえない時間の記憶としていく。

ここには、そういう思いで出会い、その思いに応えてくれた福島の人々がいる。
 
 
写真は、小学校唱歌「牧場の朝」で知られる岩瀬牧場と岩瀬牧場のある鏡石町でマッシュルーム栽培を通じて、オーガニック農法を地域に広めた、松葉屋の代表で、町議会議員の今泉さんと鏡石のAKB。

東京マラソンの寒風吹く、有明の会場で出会い、訪ねた場所。いま岩瀬牧場と協働してファーマーズマーケットを地元で開催されている。牧場、乗馬クラブ、乳製品…そして、おいしい自家製パン。オレの一番弱いものがすべてここにあった。つまり、いい出会い。
 
 
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