秀嶋賢人のはてなブログ

映画監督・NPO法人SocialNetProjectMOVE理事長

思い残し切符

映画である必要があるのか…という問いは次第に忘れられがちになっている。
 
テレビの2時間物とどこか違うのか…という問いはほぼ忘れられている。
 
そこに今回は、アニメである必要はあるのか…という問いがあった。
 
ただ、予告編を観たときから、内容の良し悪しや好みは棚上げにしても、これは観ておかなくてはいけないのだろうな…と直感した。風立ちぬ」だ。

ほぼ実写版でいいと思わせる作品。反戦や平和に深く切り込んで、強いメッセ―ジを発信しているわけでもない。だが、戦前、戦間期の日本をひとりの人物を淡々と描く、こうした乾いた空気感の作品はあっていい。これは叙情の作品だ。

映画を観たのがヒルズだったのは、夜、仲間の朗読家で、ナレーターのIさんが主催する平和イベント「未来への伝言」を行く予定にしていたから。爆心地から1.8キロという場所で被爆したピアノが再生し、いまも音を奏でている。そのピアノを詩人谷川俊太郎の子息が演奏し、Iさんの朗読、それに音楽や舞踏で参加したパフォーマーがからみ、盛りだくさんの2時間。
 
MOVEのメンバーのSさん夫妻、高校の後輩のFさん夫妻、ハリウッドのHさんもスタッフとして会場にいた。

映画もそうだが、こうしたパフォーマンンスイベントでも、すごいなと感心する部分ともっとこうできたのでは…と考えてしまう部分とがある。オレ自身がそうした仕事をしてきたこともあって、いろいろな点に目がいってしまう。

だが、そうしたことを棚上げにしても、観ておかなくてはいけないと思わせるテーマがいずれにもしっかりある。伝え続けていかなくてはいけない題材があり、伝えておくべきテーマが世の中にはある。
 
内容の良し悪しや批判、批評より、まずは、それを素直に受けれなければ、語り継ぐべきメッセージは、次の時代への思い残切符として、受け継がれてはいかない。