秀嶋賢人のはてなブログ

映画監督・NPO法人SocialNetProjectMOVE理事長

オレの舟を編む

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自身のオリジナル脚本でしか監督をやっていない石井監督が三浦しをんの原作「舟を編む」を脚本家を立てて監督するというので、この作品はどうしても観ておきたかった。
 
もうすぐ公開終了となるギリギリでなんとか観ることができた。

三浦しをんの小説は、すでに「まほろ駅前多田便利軒」で映画化に向いているのは承知している。配役は同じで連ドラにもなっている。こちらは、大森立嗣監督が映画化した。
 
実は、この二人、いま若手といわれてる監督の中で、オレ自身の波長とぴったり合う。映画監督らしい監督だと思う。キャスティングのセンスもいい。
 
波長が合うというのは、キャスティング、演出や脚本もそうだが、ロケ場所の選定、場面の美術、建込み、画像の色合い、画角、編集、音楽の選定でまったく違和感を覚えない。描こうとしている世界、やろうとしていること、描きたいと思っている世界が実によくわかる。

うちの秀嶋組の音効のKも、照明のSも、カメラマンのKもほぼオレと同じ意見だろう。山本監督とも仕事をしたことのあるKはとくにそうだと思う。
 
つまり、秀嶋組がやろうとしている作品づくりに近い。スタッフの現場での様子が作品をみていると、じつによくわかる。俳優、スタッフが言葉だけではなく、本当の意味で一つの作品に堅苦しくなく、ひとつになって、真摯に向っている姿が見えるのだ。そして、スタッフが監督の絵をなんとか形にしよう、もっとよくしようという熱意が伝わってくる。

この前の何本かは、じつは、石井監督の気持ちはわかるが、「川の底からこんにちは」を越えられていないな…と残念に思っていた。今回、自作ではないものの、見事な演出で、また新たな世界をつくっている。

Smart City FUKUSHIMA MOVEの取材作業やMOVE放送局の準備、それに、新作の短編「誇り」のいわきでの無料上映会の準備などで何かと忙しいのだが、次の撮ろうとしている作品への創作意欲を刺激してくれた映画になった。世界は違うが、やりたいのは、低予算でもしっかり映画の色、感触を感じられる作品だ。

滑り込みで映画を観た後は、東京で福島食材を扱っている飲食店の取材を仲間と二件はしご。撮影カメラのZ5を持参で酔えない。翌日は、4時半に起きて、7時のスーパーひたちでいわきへ向かった。こちらもZ5持参。いつか、こいつが、次のドラマ撮りで活躍するときがくる…
 
福島各地をZ5持参でまわり、いろいろな証言を拾い、スチールも撮る…オレの福島ことば集め。Smart City FUKUSHMA MOVEという舟を編むためだ。