秀嶋賢人のはてなブログ

映画監督・NPO法人SocialNetProjectMOVE理事長

八重の桜と生きる誇り

昨夜から始まった、今年の大河ドラマ「八重の桜」。始まってすぐ、なぜか涙がにじんでしまった。ドラマそのものが、なにか悲しみを直接訴えているわけではない。
 
だが…。ああ、よかった…これが福島の応援になれば、福島の人たちの励みのひとつになれば…そう思った。
 
この間の「福島・東北まつり」でもイベントのコンテンツメニューにいれた、八重の桜プロジェクト。そこで語ったのは、戊辰戦争以後の福島への圧政とそれを起爆剤に起きた、自由民権運動。そこでさらに受けた弾圧。そして、今日の津波被害、原発事故とその風評被害を真っ向から受けている福島の歴史だ。
 
そのどきどきに、自らのすべてを投げ打って、自分たちの村の、街の、地域の再生、新生を目指した、多くの無名の人々がいる。語りたかったのは、そのいのちの軌跡、いぶきだった。
 
獅子の時代」の元NHKチーフディレクター、清水満さんに来てもらったのもそのためだ。戊辰戦争で闘ったのは会津だけではなく、平藩、白河藩を含め、奥羽列藩同盟。そして、会津戦争では、郡上八幡からの応援隊、郡上陵霜隊が白虎隊同様、壮絶な死を遂げている。
 
いまから30年前の大河「獅子の時代」。演劇人時代、オレはそれを欠かさず見ていた。圧政の中、自由自治の筵旗をかかげ、権力に立ち向かう民衆の姿に共感したからだ。そのドラマが描いた自由自治地方分権の願いは、いまやっと途につこうとしている。
 
もしかしたら、あのときから、オレの中に、福島に共感するなにかがあったのかもしれない。日本で最大規模の農民一揆をおこしたのは郡上藩の農民。土佐で生まれた自由民権運動がもっとも勃興したのは、その郡上から養子で迎えた松平容保が所領した会津をふくむ、福島。自由民権の中心人物は、原発事故と縁の深い、三春町、相馬市から誕生している。

自由民権運動が生んだ主権在民を謳った憲法草案をもとに、憲法研究会がGHQに憲法草案を提出した。そのとりまとめをやったのは、南相馬出身の東大教授鈴木安蔵…。

そのときどきに、自らの生活と願いと思いをかけて、力に立ち向かった人たちがいる。人には負けるとわかっていても、闘わなければいけないときがある。その積み重ねの中で、やっと少しの勝利がえられる。そうやって、人々の生活は少しよくなり、少しだけ意味を遺していくのだ。

なにかに迎合し、癒着し、力に屈している限り、見捨てられる人がおり、見捨ててしまう自分たち自身の生きる誇りがある。

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