秀嶋賢人のはてなブログ

映画監督・NPO法人SocialNetProjectMOVE理事長

若い人とアホな大人

月曜の夜、「福島・東北まつり」に応援ボランティアとして参加してくる学生リーダーのSSくんをメンバーの若手Sくんが連れてきてくれた。
 
千葉育ちながら、母方が会津の山間部に実家があり、幼少のころから度々会津に滞在し、農繁期には学校を休んでまで、手伝いにいっていたらしい。震災の時も丁度、会津にいた。「すごく揺れたけど、海岸線があんなにひどいことになっているとはすぐに気づきませんでした…」。
 
それからしばらくして、学生仲間を集めて、三春の仮設住宅にいる被災者の支援ボランティをやるようになったという。彼の団体にメンバーのSくんが寄付をし、ずっと彼らの活動を応援していた。その信頼関係から、MOVEの手伝いも快く引き受けてくれたのだろう。
 
チラシ・ポスターの再校正がまだでず、少し気は急いていたが、息子と同じ歳くらいの彼とMOVEで若手になる30代を越えたばかりのSくんとバカ話をいれながら、MOVEの活動のこと、これからの福島支援のあり方など、世代を越えて、互いに雄弁に語る。
 
今週末、豊間の復興祭にFMいわきのAちゃんに誘われて、参加することを伝えると、丁度、三春に支援に行く帰りに立ち寄れるという。オレにも負けない行動力だw
 
福島のことが都会で次第に忘れられているといわれる。しかし、同時に、被災地の中でも、被災地の現実から目を遠ざけようという動きもある。もちろん、つらい記憶をよみがえらせたくないという思いもあるだろう。復興景気に束の間、被災の現実を忘れているように見える人たちもいないわけではない。
 
だが、やはり、福島県内での温度差はあるにせよ、福島につながりがある。福島に生きている人たちのこれからを切り拓かなくては…被災と原発事故を乗り越えなくては…という思いは確かなような気がする。すべてがそうだとはいわないが、やはり、海岸線の被災の現実や風評被害による苦難に直面している人たちやその姿や声にじかにふれた人でなければわからないものがあると思うのだ。

同時に、世代によって、あるいは、その人が生きようとしている生活のあり方の方向性によっても違うのかもしれない。若いからといって、すべてが純粋でひたむきなわけでもない。年令がいっているからといって、情熱や思いが浅いわけでもない。
 
しかし、この現実は素通りできないと思い、自らの行動や生き方、生活の中に素通りできないものを抱えようとする人の力は、いま何よりもこの国に必要な力のような気がする。自分たちの売名や利益のためにという下心なしで、そう考える人が時代を前へ進めるのだ。
 
若い二人のいい感じで肩の力の抜けた、それでも、福島のためにできることをしようという熱意は、激しく熱くない分、心地よかった。そうした人たちの前で、アホな大人であることは、うれしい限りだ。