秀嶋賢人のはてなブログ

映画監督・NPO法人SocialNetProjectMOVE理事長

心の手綱

今朝は金環日食で大騒ぎだった。
 
しかし、月の動きというのは、決して、お祭り気分でにぎやいでいれば、それでいいのだろうか…。マスコミが華やかな天体ショーとして、金環日食を煽り立てるほどに、どこか古い日本や東洋の因習、教えが人々から失われているような気がするのは、オレがやはり歳だからかw
 
太陽と月の動きから陰陽道も生まれていれば、月の満ち欠けと引力によって生まれる潮の満ち引きとが人の体調やいのちと深い結びつきがある。天変地異の前触れなどと大仰なことをいう気はないが、月の動きの変化や違った表情というのは、いつも何か人間世界に影響を及ぼしている。
 
子どもの出産や老いた親戚のだれかがベッドの上で息を引き取る…といったときに、オレのおふくろはよく潮の満ち引きや月の満ち欠けを気にしていた。そして、事実、それに符合することも少なくはなかった。女性の生理も月の周期と無縁ではない。いのちが海から誕生したことを思えば、海に強い影響を与える月の動きが人のいのちやからだに少なからず影響があっておかしくはない。
 
つい最近、太陽フレアが、近い将来スーパーフレアを起こす可能性があると研究者が警鐘を鳴らしている。また、一定の周期でN極とS極を反転させる太陽の周期が数百年に一度、二つに分離するが、それが今年。その年には大寒波が到来した事実もはっきりしている。ある研究者によると、金環日食によって、強い引力が働き、緩くなっている活断層に影響を与えるのではないか…と警鐘を鳴らしてもいる。

太陽と月と地球…人は、普段、宇宙の奇跡ともいえる法則の恩恵の中で自分たちの生活が成り立っていることを忘れている。
 
きっと、人々の身近なところで、いままでとは違う何かが起きている。それは大きな自然の変化ばかりではなく、ささいな人との関係や仕事の中で、あるいは、夫婦や恋人、家族の中で、いままで当然こうだろうと考えていたものが、通用しなかったり、信頼してた関係が裏切られたり…ということが起きているのではないかと思う。

実にささいなことだ。しかし、何かが変化し、壊れていくとき、少しずつ砂楼が崩れていくように、ささいな変化しか、そこにはない。最初は、ちょっといままでの生活とは違うことが始まった…その程度で終わると考えていたものが、いつの間にか、いままで積み上げていたものすべてを失う…ということもある。しかし、その喪失によって、見失っていた貴重なものに気づくということもあるだろう。

これは年寄の老婆心かもしれない。だが、今年、何かいままでと違うことを始めた。いままでと違う生活をスタートさせた。いままでと違う人と出会った。あるいは何かの深みに身を置いた…といった人は、心の手綱をしっかり握りしめた方がいい。それは変化を恐れろといっているのではない。これまでの執着を捨てて、いろいろな身に降りかかる出来事を鍛錬ととらえ、変化に耐えられる自分であろうとすることだ。