秀嶋賢人のはてなブログ

映画監督・NPO法人SocialNetProjectMOVE理事長

面から点へ、そして線へ

いま、すっかり自身の公式HPを更新していない。
 
1月の末に、今月の評論「OUT」を更新してから、止まっている。その要因のひとつは、同じころ、FBを始めたこと。不特定多数の人々にメッセージを届ける有効なツールはいくつかあるが、FBにまさるものはない…と考え、そこでの訴求活動に専念した。
 
もうひとつの要因は、いうまでもなく、震災。3月11日以後、FBを通じて、あれこれメッセージを書き込みつつ、4月から福島県を中心に、石巻まで足を伸ばし、震災の現状と自分たちにできる支援事業、協働事業を模索する日々が続いた。
 
その折々の眼にしたもの、思いは、ブログにもし、FBにもしてきた。そして、現実的な活動の中に身を置いた。そのため、HPの更新には到底手が回らなかったことだ。

しかし、今年1月にHPの評論に書き込んだことが、中断している間、各地をまわり、いろいろな取り組みを考え、実行する上で、重要なキーワードを含んでいたことに自分自身気づき、驚かされ続けた。
 
戦後66年のこの国の治世は、いつもいうように中央集権という明治期に大久保が築いたパラダイムの踏襲の中で進められている。それは、敗戦後においても同じだったし、この30年近くは、都市一極集中型の格差構造の図式となって、より鮮烈になった。
 
オレは今年の1月、「面から点へ」というテーマで、今年以後、この国が向かわなければいけない方向性を語った。そして、「点から線へ」が、これからのこの国の新しい流通、情報、人材、地域連合そして、市民社会の形成には不可分だと。
 
国政が行う画一的な施策。それが有効性を持たないことを震災は露呈した。しかし、同時に都道府県単位においてさえ、画一性という面としての治世を基本とする姿勢は変わらない。
 
しかし、時代は画一的な国政、地域行政の枠組みでは、人々の要求や願いをくみ取ることができない個別性に満ちている。
 
上意下達式の画一的な施策ではなく、個々の市民や地域の要望をどう吸い上げ、点から線へとつなぐ、新しい治世の図式を引き直す必要がある…そう語ってすぐ、これまでの国政、都道府県行政のシステムは、対応できない問題が噴出したのだ。
 
いま、新しい政治の枠組みを求める声がある。震災後の新しい国の形とは…と意見が飛び交う。しかし、オレは、そのいずれにも魅力を感じていない。魅力がないとは、時代認識が脆弱過ぎるからだ。
 
点から始める。始めなければならない。その点への取り組みをどうするかを考えれば、おのずとこの国が生み出すべき新しいシステムはつくられていく。が、しかし。そのことに気づいている政治家は実に少ない。いや、皆無といっていいだろう。
 
大坂市長に当選した橋下氏ですら、浮動票、無党派層の動きを読めてはいなかった。簡単だ。支持をいっても、投票場にいってくれいないのが彼らだからだ。しかし、それは、既存のメガネでしか、大衆を読む力がなかったのことの表れ。つまりは、点からという時代の動性を読めていなかった。

面の時代は終わった。そして、市民と共に汗や泥にまみれて、点の改革から世界を変える信念と点=市民ひとりひとりの可能性を信じる力がないところに、これからの政治も国づくりも、ない。