秀嶋賢人のはてなブログ

映画監督・NPO法人SocialNetProjectMOVE理事長

街のにぎわい

酒席が多い。街はクリスマスの喧騒が広がっている。
 
が、しかし。移動のタクシーの中で話を聞くと、10時半を過ぎる頃には潮が引くように人の流れが減っていく…と聴いた。実際、どの店も11時を過ぎるとすっかり客足が引いている。
 
「今週末の16日と来週三連休前の22日が年末忘年会のピーク…それ以後は仕事になりませんよ…」。どのタクシーに乗ってもそんな言葉が返ってくる。実際、六本木や赤坂界隈は交通渋滞で問題になっているが、客待ちタクシーの列が長く続いている。
 
今年、クリスマスは三連休の谷間の土曜日。家族のいる人たちは、昼間を中心に動くから夜の遠距離タクシーは期待できないということだろう。震災後、家族といる時間を大事にする…という傾向が強くなっていることとも無縁ではない。

それと真逆に生きているオレのような人間は、震災があろうがなかろうが、この時期、ひとりで過ごすことが当り前になっている。
 
以前、だれだったか…孤独に強い人はこわい…と聴いたことがある。
 
9月におやじの米寿の祝いで福岡、佐賀に帰ったときは、姉と久しぶりにあれこれ生活のことを話すうちに、「あんた、さびしくならん?」と突然聞かれ、「さびしいのはさびしいけど、仕方ないじゃないか…」と答えると、しばらく間をおいて、「あんた、孤独に強いとかもね…」といわれてしまったw

だが、果たして、孤独に強い人などいるのだろうか…。強いのではなく、ひとりでいる時間の使い方を知っている…といってほしいw
 
大学の頃から、劇団をやっている頃まで、年末年始の時期はバイトに明け暮れているか、4月か5月にやる舞台公演の台本の構想を練ったりしていた。彼女がいても、地方出身者だから、その時期、帰郷する。在京の女性と付き合っているときは、夜は家族で過ごすから…と一緒にいられるのは昼間だけだったりしたw 
 
わずかに結婚して子どもが幼かった頃は、それなりにクリスマスらしいことをやった記憶がある。しかし、子どもが高校生くらいになると親といるより友だちといる時間を選ぶ。彼女や彼氏なんかできてしまえば、なおのことだ。乃木坂で暮らすようになってからも相手が帰郷ではなく、帰国するので、当然、ひとりになるw
 
そんな人生を送っているうちに、世の賑わいの中にいないことになれてしまった。通常の仕事もなく、自由に使える時間ができれば、書きかけの小説や映画の台本がオレを待ってくれている。あるいは、会社の業務の仕掛けをあれこれ考える時間にもなる。人がいないなら、いないで、やれることはあるし、やることは多い。
 
世の中への関心の軸の取り方が、たぶん、人と違うためだろう。男たるもの、いつくになっても、さびしさに耐えられないようになったら男じゃない…
 
とはいえ、そういう決意の中にいるときに限って、アルパチーノ主演の『セント・オブ・ウーマン』やジャック・ニコルソン主演の『恋愛小説家』を思い出してしまうのは、なぜだろうw
 
子どもの頃、クリスマスや正月を楽しみにすることができていた。果たして、いま、この国は、子どもたちも大人も、それを楽しみにする生活を、愛ある生活をすべての人が万遍なく生きられる国なのだろうか…