秀嶋賢人のはてなブログ

映画監督・NPO法人SocialNetProjectMOVE理事長

透かし絵

世の中には、世の中を動かしている人間と動かされている人間がいる。
 
それはいつの時代、どこの国においても、同じだとオレは思っている。表に出ている時代の姿、国のあり方だけを見ず、情報からそれを感知し、予測と推測を立て、次に現れた社会の姿から、時代や国のあり方を読む。
 
いわゆるメディアリテラシーが求められる時代に、社会に、世界に、オレたちは生きている。
 
「すべてを疑え」といったのは、中国の革命家毛沢東。しかし、この「すべてを疑え」も政治思想が宗教的理念のように崇められると、民主主義と自由すら奪う両刃の剣となることは、文化大革命の失敗で歴然としている。
 
狂信、盲信におちいらず、時代の姿、社会のあり方を見極めるのは、いま途轍もなく難しい。マスコミ、ITといった情報ツールと情報量の多様性の中から、実相を読み取るのは、幼いころからのトレーニングやどういう家庭、地域、人間関係の中で育ったかが大きく影響するからだ。
 
ねじれ国会がもうすぐ始まる。
 
中国との関係、検察の不祥事、検察の判断による中国人船長の解放。押尾学の保護責任者致死の検察の上告の放棄。さらには、景気対策のための予算案の審議。
 
野党の攻撃は明らかだし、国民感情も不信感を抱き始めている、だが、それでも、それら政治的問題を柳に風がなびくように、風を避け、これまで民主党の幹部が異口同音に公明党との連携はないといっていたのに、菅直人が総理になってから、急速に公明党との関係を築こうとしている。
 
国会審議のキーマンとしてそうしているか、それともそれ以外の事情があってのことなのか。昨日の菅直人の八王子の創価学会の美術館視察は大きな話題になった。
 
権力の座に就いた人間は、それ以上の権力に駆逐される。それは歴史の示すところ。権力の快感は、権力を持ち続けたいという欲求と同伴しているから、権力を維持するために、本来の心情や信念を覆しても、権力を補完してくれるものと手を結ぶ。
 
かつての自民党がそうであったように。
 
政権交代の国民の意志が、またひとつ裏切られようとしている。菅内閣は、世の中を動かす集団なのか、それとも動かされる集団なのか。
 
ここ一週間の報道をみえば、透かし絵のように浮き上がる事件・事案への対処の構図と圧力の姿が見える。