秀嶋賢人のはてなブログ

映画監督・NPO法人SocialNetProjectMOVE理事長

どう生きていくのか

今年は例年になく、NHK本局、教育、BSチャンネルで、太平洋戦争を取材した番組が連続放映されている。番組の数も多い。
 
戦後65年というひとつの節目ということもある。だが、それ以上に、制作トップに、いまこの国の社会のあり方に、危機感があるからではないかと思う。
 
いまの政治、経済状況、社会に起きる様々な問題、それらか導き出す将来不安や生活不安、動揺、危機感。それがどこからできているのか、それらを解決するために、われわれ日本人が何をみつめ直し、乗り越え、変えていかなければならないのか。
 
それを、あの戦争から見直そうという意図や願いがあるように思う。
 
経済においても、政治においても、そして、人々の生活においても、いま、この国は自分の進むべき道を見失っている。それをマスコミは、ただ政治の問題に刷りかえるが、そうではない。
 
マスコミも含め、この国の人々すべてが、ある意味、自分たちの生きる道を見失っているのだ。自分はどう生かされてきたのか。そして、どう生きるのか。何のために生きるのか…。
 
他者と結びつくとはどういうことなか、結びつくことによって、何を生み出し、何を実現しようとするのか。その基軸に何を置くのか。
 
そうしたことが曖昧になり、見えなくなっている。
 
渡辺謙があるテレビのインタビューで語っていた。海外で仕事をし、日本に戻ると、人々が目先のこと、自分のこと、半径数メートルのことだけに関心を注ぎ、ミクロの視点しか持たなくなっているように見える…。
 
社会はどうあるべきか。その社会のために自分はどう振舞い、どう発言すべきか。世界でいま何が起きているのか。その世界のために自分はどう振舞い、どう発言すべきか。
 
簡単にいえば、そうした外への眼差し、思考、行動が希薄になっていると指摘しているのだ。
 
それは、人が人らしくあるということがどういうことか、社会が社会としてあることはどういうことか。その基本的な問いが人々に欠けているからだとオレは思う。
 
あの戦争とその悲惨が日本人の何によって生み出されたものなのか。それを振り返ることで、いま自分たちが抱えてる家庭、地域社会、国、世界を見直す。その意図がNHKの番組からは伝わってくる。
 
そうした良識と見識のある行動と願いをこの国のこれからを生きる人々が受け止めるのか、受け止めないのか。受け止めるとしたらどう受け止めるのか。そして、どう自分の日々の生活に生かし、行動していくのか。
 
それがこれから先のこの国の姿を決めるのだ。