秀嶋賢人のはてなブログ

映画監督・NPO法人SocialNetProjectMOVE理事長

奇妙な孤独感

「この夜空の遠く向こうの宇宙には、有機発光体のカプセルの中に、エヴァガンダムようにひっそりと座っている、本当のぼくたちがいんだ。そして、この地上で、憎しみ合ったり、争ったり、人をだましたりして生きている、自分たちの姿を哀しい思いで、じっtみつめている。ぼくらは宇宙に浮ぶ、孤独な有機発光体なのさ。宇宙の闇の中で、それぞれがひとりぽっちで、地上で泣いたり、喚いたりしている自分の姿をみつめている。でも、宇宙空間の中では、空に浮ぶ星たちのように、だれとも通信し合えず、だれとも心を通わせることもできやしない。ぼくらは、宇宙に浮ぶ孤独な有機発光体なのさ…」

 そこまで語ると透は、涙があふれ、それ以上、言葉にすることができなかった。エリは、透の横で透の目尻がらつたう涙をじっとみつめていた。そして、しばらくすると、透の手をそっと握りしめた。そして、透が見つめる夜空の方へ、再び、顔を戻した。

「私は、ずっとあなたの側にいるから。いつでも、どんなときでも、きっとあたなの側にいるから…。」エリはそういうと透の手を強く握り締めた。エリの掌はさっきより、汗ばんでいるように感じた。透は、その手をいままでしたことのない強さで、握り返した。

芝草の上に並んで横になる二人の姿を、少し雲間にかけてきた月が仄かに照らし続けていた。


というような雰囲気の下りのところまで、書き進んでいる小説がある。今月中に書き上げたかったが、どうもあやしい雲ゆきになっている。

撮影を終えた、作品の編集作業に今週は時間をとられてしまう。残り1週間では、ちょい至難だが、なんとか挑戦してみよう。

撮影を終えると、孤独感に襲われる。スタッフの中でわいわいやっていたからというのもあるが、作品をひとつ、撮り終えたという充実感は、いつも不思議な孤独感と一緒だ。イベントや芝居をやっても同じ。その作品に手ごたえがあるときほど、その、さわやかな孤独感は強い。

一つの作品をつくりあげるのに、いろいろなことがある。表向きの段取りだけではなく、作品の設計図に思いをめぐらしながら、細々とした気遣いや配慮が必要になる。

そのすべてを、だれかに理解してもらうことは不可能だ。だが、どこかで、それを理解できる人がいてくれたらと、作品が終わるとふと思ってしまう。

理解してくれたからといって、それが正しい理解であるかどうかはわからないし、違う理解のされ方をしてしまい、かえって、それを説明するのも面倒にもなる。

だから、中途半端に理解されるよりは、理解されない方が、まだ、ましだともいえる。でいながら、少し軽くなった心の開いた部分に、風が吹き、それを何か埋め合わせるものはないかと、うろうろする。

結局は、気の置けない飲み屋で酒をひとりで飲むというのが相場。で、ハンナへ。深酒をしてしまい、酒が脳を満たし、芯を打つ。それが奇妙な孤独感をまぎらす知恵。