秀嶋賢人のはてなブログ

映画監督・NPO法人SocialNetProjectMOVE理事長

治と乱

昨夜、役場に顔を出す。今日の夕方、撮影でRedを使うので、挨拶がわり。

基本、オレが早めの時間に一人でいくときは、小一時間もいれば、帰る。軽くアルコールを入れたいときだけだ。そういうときは、大方、客も少なく、カウンターにオレひとりということは珍しくない。

ところが、昨日のブログでイワとベティのことを書いたが、そのベティが珍しく顔を出す。イワとネーリストKにも声をかけたという。

ならばとしばし、延長。だが、イワは10時終りで、なかなか現われない。ネーリストもなかなか現われない。二人が現われたときには、すっかり出来上がり、撮影前は、深酒はしないオレが、いい感じになってしまう。

疲れもあったのかもしれないが、しっかり脳の芯に酒が残る。冷たく切り上げることのできない、軟弱なオレ。

今回の撮影は、オレがいう広い意味での「青山村」の人たちに、支えられている。同じマンションオフィスに設計事務所をかまえる、インテリアデザイナーのCさんは、まだ知り合ってまもないのに、撮影のメークルームとして、オフィスを提供してくた。仕事でいないからと、鍵まで預けて。

この数年、オレがはまっている、外苑通り添いの花店アリエルの店長は、撮影に使わせてもらえないかというと、二つ返事でOKしてくれた。もともと、爆笑問題太田光のかみさんの光代さんが経営している店ということもあって、そうしたことになれているというのもあるが、人柄だ。

おかげで、乃木坂界隈で第一目の収録は、まとめ打ちができる。まとめ打ちができるということは、無駄な出費をしなくて済むということだ。

一昨年、東映の仕事で、虐待防止シリーズの三部作を制作し、そのひとつが教育映像祭で、オレにすると三度目の優秀賞を受賞した。そのときから、今度の作品の構想はあった。

しかし、ほかの自主作品もあり、やれるかどうか、スケジュールや経費の点で微妙だったのだ。それが、結局、この撮影で、3タイトル、6作品を4月頭までに完成させることができる見通しが立った。

女性の人権。いつの時代にも、どこの国でも、社会でも、乱にあって、まず最初に犠牲になるのは、女性、子ども、高齢者、そして、身体的、精神的なハンディを抱えた人々だ。

生活が豊かで、心の充足感がえられているとき、人は、そうそうに人を傷つけない。きれい事の正しさをいっているだけで、なんとなく人々の人権は守られているように錯覚できる。

しか、紛争や内戦、不況や倒産、失業や自殺といった様々な要因で、家庭が、地域が、社会が、国が、追い込まれると、そこには必ず、守られていたはずの人権が理不尽に、不条理に踏みにじられる現実がやってくる。

平時にあって、正しいことをし、正しいことを言うのは、だれにでもできる。

有事にあって、それができてこそ、正しきことが正しいという証明をえられる。

だが、そうできない人間の弱さこそが、人間なのだ。だから、平時にあって、有事を思い、有事のときに通じる人権教育や人間教育がなくてはならない。それは、自分自身の中にある邪さや人を差別する心と向かい合うことだ。

そこには謙虚さと、人の痛みをわが痛みとできる気骨がなくてはならない。

孫子いわく、「治にあって、乱を忘れず。乱にあって、治を忘れず」