秀嶋賢人のはてなブログ

映画監督・NPO法人SocialNetProjectMOVE理事長

印紙代って

朝起きると、窓一面の雪景色。

この事務所に移転してから、窓の外に広がる綿雪の光景を見たのは、これで2回目になる。暖冬になれた東京人には、こたえる寒さだが、本来、これが2月の気候。とはいえ、午前中の早い時間には溶ける。

外気の寒さはひとしおだったが、その中を法務局に自転車を走らせる。会社の登記内容の変更届け書類がやっと整い、提出する。記載上の問題がなければだが、それでも確定するのは1週間後。

こうした手続きの度に思うことだが、あの「印紙代」というのは、いったい何なのだ。

もちろん、公的書類の証明書発行のための費用。それはわかっている。しかし、会社の住所変更と役員のオレの住所変更で、4万円。今年は創業20周年ということもあり、会社の目的定款を現状に合わせるように修正したのだが、それで3万円。計7万円。

どうしてもこの金額に合点がゆかない。

手続き内容と対費用の開きがありすぎる。民間のサービス機関ではありえない金額ではないか。昨年、相続税の手続きをしたが、そのときも同じようなもの。

たとえば、レストランで、窓際のいい席を予約したら、1万円。ロイヤルコペンハーゲンの食器を使ったら、2万円。グラスをバカラで指定したら、1万円。てな具合で、請求されている感覚になる。

そんなことをやっていたら、民間では、客は来ない。

こうした印紙代は、もちろん、国、行政にとっては、大きな税収源。行政の立場からすれば、国、行政のお墨付きを与え、それによって、あらゆる公的手続きをパスできる証明書、公文書になるのだから、それくらいは払ってもらわないと、ということになる。

しかし、考えてみれば、国民へのサービス機関として、こうした窓口は機能している。印紙代とは別に、オレたちの血税でこうした認可施設の維持管理や人件費は賄われている。そこに、さらに、民間ならば、法外といえる印紙代をとる。これは、どう考えてもおかしい。

オレは小さな政府がいいとはいわない。大きい政府でなければ、今後の少子高齢化社会の福祉国家を築く上で、いろいろな齟齬がでる。だから、不況でただでさえ、税収が落ちている中、規定の法的手数料について、検討する余地はないかもしれない。

が、しかしだ。小さな政府を実施しているニュージーランドやオランダなどいくつかの事例でも見られるように、民間委託をすることによって、これまでの行政サービスにかかっていた費用が軽減されたという成功例もある。

小泉的構造改革は望まないが、行政では当然とされている公務員の丸抱え、民間では考えられないほどの人員。施設費。公務員の住居費。そういったものを検証すれば、民間委託とはいかないまでも、もっと無駄を削ぎ落とし、国民へのサービス機関として、より国民生活に立った金額設定はできるはずだ。

起業する上においても、相続の負担を少しでも軽くする上においても、その方が起業の活性化による新しいビジネスも生まれやすいし、不動産の流動性も高まりやすい。と、考えるのはオレだけだろうか。

行政手続きに費用と時間がかかるのを当たり前としているようでは、いくら仕分けパフォーマンスをやってみせたところで、国民にとっての行政改革の実感はない。