秀嶋賢人のはてなブログ

映画監督・NPO法人SocialNetProjectMOVE理事長

負けない早稲田

企画書書きで、パニックっているというのに、観てしまった早明ラグビー

さすがに、国立競技場へはいかなかったが、前日、慶應が帝京にまさかの敗北をし、関東大学対抗戦グループでの優勝がかかった試合。

明治は、北島監督の死後、経理の不祥事問題などで、すっかり一頃の勢い、強さを失ってきた。かつてなら、早明戦は、どちらかが優勝をかけた試合。その延長に、正月の大学選手権があった。対抗戦で負けても、大学選手権決勝でとりかえす。それが、早明の暗黙の対決だった。

残り10分を、早稲田のバックスが幾人もの負傷者を出しながら、重量フォアード、明治の重戦車軍団の攻撃をライン際で押し留めた、雪の早明戦など、対抗戦は、歴史的な名勝負が多い。涙なしでは観戦できない、男と男、大学と大学の意地をかけた勝負だったのだ。

それがこの数年は明治の低迷で、お株を関東学院や他の大学に奪われている。今期も5位という成績。不祥事以来、明治のフィフティーンには、自信のなさが如実に現われていた。

が、しかし。昨日の早明戦は、かつての重量Fを彷彿とさせる、見事な試合展開を一時だが、明治が見せた。バックスのディフェンスも素晴らしかった。あいつら、死ぬ気でタックルしていた。

下馬評は、早稲田の一方的な試合になると予想されていた。しかし、国立での明治は違う。その言葉通りの試合を見せた。

監督がかつて明治の全盛期にスタンドオフをやっていた吉田。自信を失っていた後輩たちに入れた喝は、「魂」。早稲田魂があるように、明治には明治魂がある。今回5位だったが、強い明治が帰ってきそうな予感を抱かせる、実にいい試合だった。

早稲田は、慶應戦で終盤からくも同点に持ち込み、今回も前半は2トライ差で負けていたが、後半に怒涛の攻撃で逆転した。

大学に入学してすぐ、担任の教授から、「来たくて早稲田に来たもの、いやいやながら来たもの、なんとなく来たもの、いろいろいるかもしれない。しかし、卒業する頃に集合写真をとったら、それは、早稲田の学生になっている。これは、慶應も同じだ」といわれたのを覚えている。

確かに、自分の身の回りの同級生たちや後輩を見ていると、その後の人生を含め、なぜか早稲田をやっている奴らが多い。もちろん、だらしない奴、どうしようもない奴、悪賢い奴などもいるが、押しなべて、オレの回りにいる奴は、そういう奴らが多かった。

権威や権力におもねず、ギリギリ追い詰められても、雑草のように立ち上がる。泥臭い努力と、ベタなあきらめない精神で、無理と思われていることをなんとか形にする。ときには、強引に。

早稲田の在野精神とはそうしたものだ。決してかっこいいものではない。だが、それによって実現する何かがある。得られる何かがある。早稲田はそれを教えてくれる大学だと思う。

企画書書きがタイムリミットを向かえ、締め切り期日を延ばさなくては間に合わないかと、一瞬、意気消沈しかけたが、後輩たちのラグビーが、オレに喝を入れてくれた。

至難の企画書が今朝アップ! 負けない早稲田はここにもいる。