秀嶋賢人のはてなブログ

映画監督・NPO法人SocialNetProjectMOVE理事長

師走

時が経つのが、早い。そう感じ始めたのは、いつからのことだろう。

子どもの頃は、一年が経つのはずいぶん長かった。だから、年中のさまざまなイベントが待ち遠しく、感動できていた。

それが20歳を過ぎた頃から、次第に一年が経つのが早く感じるようになり、30代になると、マジ早いなと思うようになり、40代になると、すげぇ早ぇと実感するようになり、50代になると、あっという間だと思うようになる。

充実度がましてくるからならいいのだが、おそらく、日々の生活が充実しているかしていないか、多忙であるかないかに関らず、齢を重ねると時間が経つのを早いと感じるようにできているのだ。

なぜなら、残り時間が見えてくるから。

たまに事務所の経理を手伝いにきてくれているかみさんと話したことだが、「人生なんてあっという間だよね」という感覚。

かみさんが18歳のときに大学で知り合い、それがいま50歳。当時23歳だったオレは、55歳になっている。この30年、まばたきする間に過ぎてしまったというのが互いの実感だ。

ま、オレたちの場合は、波乱万丈。この30年で、あまりに多くの経験をしてきてしまった。させたのは、オレの計画性のなさとわがままと身勝手さゆえだが。

16歳下だった、上海のかみさんは、出会ったときが26歳。それが今年40歳になってしまった。たまにもらうメールで、相変らず、「私、きれいでしょ」という口癖は変らない。ボコボコにされるから、本人にはいえなが、添付されてくる写真は、しかし、歳をとった。

ふと周囲を見れば、何十年来という知り合いたちも、歳をとっている。

歳相応に人生を生きてくると、当然ふける。心と外見が一致して、それがいい味を出す。だが、オレのように、この歳になってもバタバタしている奴は、その一致がない。たまに、それを実感するのは、運動するときとか、健康診断などで、いろいろな不具合を指摘されるときくらいだ。

今回の健診結果を聞きいったら、メタボ気味は相変らずで、中性脂肪値がやたら高い。運動を心がけ、食事に気を遣っているつもりでも、若い頃の感覚で生活していたら、こうした数値になるのは当然。半年後に再度血液検査をして、必要ならば、動脈硬化を回避するために、中性脂肪を下げる薬を使おうという話になる。

身体は、まるで、バブル期のオヤジだ。生活意識は、食生活に現われる。いい歳なのだから、そろそろ枯れた生活というものをやってみろということなのだろう。

本来なら、12月、この一年を振り返り、齢を重ねつつある自分の人生をふりかえり、かくあるべき老いへ向けた生活を深慮するときなのだろうが、この12月、コンペ資料の製作やら、プレゼンやらで、休まるところがない。来年予定されている作業についても、あれこれ連絡や手配をしなければならないことがある。

また、一年を振りかえる余裕もなく、まばたきするように年の瀬を向かえ、明ける。そんないつも年末。

置き去りしてきた、いくつかの思いに手をつけられないまま、師走のつむじ風になって、来年へ走る。