卵酒
卵酒が飲みたかった…
小学生くらいまでのときは、風邪をひくと、おふくろが必ず、卵酒をつくってくれた。７、８年ぶりに風邪らしい、風邪をひいたせいか、それがとても飲みたくなった。
扁桃腺を腫らすことはあるが、鼻づまりや咳が出る風邪は、久しぶり。とくに風邪に気をつけていたわけでもないが、一度、死にかかってから、運動をこころがけ、タバコの本数も減らし（周囲は、それで減らしたのかと驚くが）、腸内菌や免疫力を高める食事をこころがけと、あれこれやっていたら、風邪をひかなくなっていた。
以前、呼吸器系の疾患で入院したから、自分でも無意識のうちに、風邪をひいてはヤバイと思い続けていたからかもしれない。
死にかけたときの胸膜炎は、結局、その発症理由がわからず仕舞いだったが、おそらくと、医者にいわれたのは、風邪をひいて、肺炎になり、それに気づかず無理をし、肺炎の菌が胸膜に転移し、腫瘍化したものだろうといわれた。風邪をひいていたのは覚えがあるが、肺炎を併発していたなんで全然気づかなかった。一人暮しの男なんて、そんなものだ。
以来、呼吸器の病気には、どこか無意識で気をつかっていたのだと思う。
あのとき、おふくろは、よくオレの見舞いにくるのをがまんしたと思う。行くといってきかなかったらしいが、オヤジがとめた。オレが死の淵にいると知ったら、おふくろがもたないと、オヤジは思ったにちがいない。
見舞いにきた、姉は、死を覚悟していたと、後で聞いた。「あんたには、まだ、やらなくてはいけないことがあるから、天命があるから、生き延びたのよ」と、そのとき、姉はいった。気丈な姉だから、あのとき、ぶれないで冷静でいられたのだと思う。
医者か看護師には、タバコをやめないと呼吸困難で、そのうち、死ぬぞと脅されたが、結局、禁煙は一月ももたなかった。酒はやめられても、オレはタバコはやめられそうにもない。
そんなオレが久しぶりに風邪をひき、卵酒が飲みたくなる。それで、ふと気づく。そういえば、オレには、卵酒をつくってくれる人が、いない…。料理好きのオレだが、よく考えれば、卵酒のつくり方を、知らない…。つまりは、オレは、おふくろのつくってくれる卵酒しか飲んだことがない…。
それで、ふと思いたったのが、ハンナのばばあ！
奴ならつくれるだろうと、ハンナのばばあのところに、顔を出し、暖簾こしに、「ね、卵酒つくってくれない？」と、声をかける。が、しかしだ。オレのバブバブ～甘えは、軽く一蹴された。
「何いってんのよ。うちは地酒屋よ。そんな気の利いたものなんか、つくれるわけないじゃない」。
おいおい。いい歳したばばあなんだからさ、卵酒くらいつくれるだろうというと、「そんなもの子どものときの飲まされたこともなければ、つくったこともないわよ」ときた。忘れていた。そうだ、こいつは、こてこてのお嬢さん育ちだった…。
帰ろうと思ったが、どうしても卵酒が飲みたい。で、仕方なく、熱燗にしてもらい、ばばあ得意のニラ玉を頼む。ばばあ、調子がいい。「そうよ。熱燗で、ニラ玉食べれば、卵酒といっしょでしょ」。
こいつ、オレのバブバブ～の卵酒ロマンを愚弄する気か！ と、キレたくなったが、このばばあ、そういう奴だ。超天然。
で、熱燗でやる。やっていたら、やはり風邪のせいか心臓がバクバクし、汗が出る。やはり、ニラ玉と熱燗で卵酒の代用ができるらしい。ハンナのあと、Redに顔を出そうかと思っていたが、卵酒もどきに、すっかり上気し、汗ばんで、そこそこに、部屋に戻る。
少し落ち着いた頃だった。Youからメール、葛西のわけのわからん、マチルダが来ていて、オレに会いたがっているという。変態社会保険労務士もいるという。が、さすがに昨日は休診日。先生は、卵酒もどきにすっかりやられてしまって、診療にいけぬ状態。
マチルダは、せっかくオレに会いたいといってくれたのに、悪いことをした。あいつが、もう少し爆乳だったら、オレのバブバブ～、卵酒ロマン状態に拍車がかかり顔を出していたかもしれない（爆！）
ＰＣをひらくと、浜松町さんが携帯メールで海釣りの誘いをくれていた。ありがたい、心配してくれているのだと思う。男二人で、防波堤から釣り糸をたらすものも悪くない。海はいい。
が、しかしだ。あそこは、船乗りのオレはよく知っているが、船走らせる奴には、超迷惑な釣り人たちなのだ。投げ込んだ釣り糸と浮きが、結構、操船の邪魔になる。あの当たりは深さがあまりないから、走行できる場所が限られている。そこに釣り糸があるからだ。
それなら、船を出してもいい。そうだ。船を出そう。そして、船の上で卵酒を飲もう。脈絡もなく、そう思う。
温かいものに飢えているから、きっとそう思うのだ。
いけない、また、気弱なコメントを書いてしまった…（爆）。
小学生くらいまでのときは、風邪をひくと、おふくろが必ず、卵酒をつくってくれた。７、８年ぶりに風邪らしい、風邪をひいたせいか、それがとても飲みたくなった。
扁桃腺を腫らすことはあるが、鼻づまりや咳が出る風邪は、久しぶり。とくに風邪に気をつけていたわけでもないが、一度、死にかかってから、運動をこころがけ、タバコの本数も減らし（周囲は、それで減らしたのかと驚くが）、腸内菌や免疫力を高める食事をこころがけと、あれこれやっていたら、風邪をひかなくなっていた。
以前、呼吸器系の疾患で入院したから、自分でも無意識のうちに、風邪をひいてはヤバイと思い続けていたからかもしれない。
死にかけたときの胸膜炎は、結局、その発症理由がわからず仕舞いだったが、おそらくと、医者にいわれたのは、風邪をひいて、肺炎になり、それに気づかず無理をし、肺炎の菌が胸膜に転移し、腫瘍化したものだろうといわれた。風邪をひいていたのは覚えがあるが、肺炎を併発していたなんで全然気づかなかった。一人暮しの男なんて、そんなものだ。
以来、呼吸器の病気には、どこか無意識で気をつかっていたのだと思う。
あのとき、おふくろは、よくオレの見舞いにくるのをがまんしたと思う。行くといってきかなかったらしいが、オヤジがとめた。オレが死の淵にいると知ったら、おふくろがもたないと、オヤジは思ったにちがいない。
見舞いにきた、姉は、死を覚悟していたと、後で聞いた。「あんたには、まだ、やらなくてはいけないことがあるから、天命があるから、生き延びたのよ」と、そのとき、姉はいった。気丈な姉だから、あのとき、ぶれないで冷静でいられたのだと思う。
医者か看護師には、タバコをやめないと呼吸困難で、そのうち、死ぬぞと脅されたが、結局、禁煙は一月ももたなかった。酒はやめられても、オレはタバコはやめられそうにもない。
そんなオレが久しぶりに風邪をひき、卵酒が飲みたくなる。それで、ふと気づく。そういえば、オレには、卵酒をつくってくれる人が、いない…。料理好きのオレだが、よく考えれば、卵酒のつくり方を、知らない…。つまりは、オレは、おふくろのつくってくれる卵酒しか飲んだことがない…。
それで、ふと思いたったのが、ハンナのばばあ！
奴ならつくれるだろうと、ハンナのばばあのところに、顔を出し、暖簾こしに、「ね、卵酒つくってくれない？」と、声をかける。が、しかしだ。オレのバブバブ～甘えは、軽く一蹴された。
「何いってんのよ。うちは地酒屋よ。そんな気の利いたものなんか、つくれるわけないじゃない」。
おいおい。いい歳したばばあなんだからさ、卵酒くらいつくれるだろうというと、「そんなもの子どものときの飲まされたこともなければ、つくったこともないわよ」ときた。忘れていた。そうだ、こいつは、こてこてのお嬢さん育ちだった…。
帰ろうと思ったが、どうしても卵酒が飲みたい。で、仕方なく、熱燗にしてもらい、ばばあ得意のニラ玉を頼む。ばばあ、調子がいい。「そうよ。熱燗で、ニラ玉食べれば、卵酒といっしょでしょ」。
こいつ、オレのバブバブ～の卵酒ロマンを愚弄する気か！ と、キレたくなったが、このばばあ、そういう奴だ。超天然。
で、熱燗でやる。やっていたら、やはり風邪のせいか心臓がバクバクし、汗が出る。やはり、ニラ玉と熱燗で卵酒の代用ができるらしい。ハンナのあと、Redに顔を出そうかと思っていたが、卵酒もどきに、すっかり上気し、汗ばんで、そこそこに、部屋に戻る。
少し落ち着いた頃だった。Youからメール、葛西のわけのわからん、マチルダが来ていて、オレに会いたがっているという。変態社会保険労務士もいるという。が、さすがに昨日は休診日。先生は、卵酒もどきにすっかりやられてしまって、診療にいけぬ状態。
マチルダは、せっかくオレに会いたいといってくれたのに、悪いことをした。あいつが、もう少し爆乳だったら、オレのバブバブ～、卵酒ロマン状態に拍車がかかり顔を出していたかもしれない（爆！）
ＰＣをひらくと、浜松町さんが携帯メールで海釣りの誘いをくれていた。ありがたい、心配してくれているのだと思う。男二人で、防波堤から釣り糸をたらすものも悪くない。海はいい。
が、しかしだ。あそこは、船乗りのオレはよく知っているが、船走らせる奴には、超迷惑な釣り人たちなのだ。投げ込んだ釣り糸と浮きが、結構、操船の邪魔になる。あの当たりは深さがあまりないから、走行できる場所が限られている。そこに釣り糸があるからだ。
それなら、船を出してもいい。そうだ。船を出そう。そして、船の上で卵酒を飲もう。脈絡もなく、そう思う。
温かいものに飢えているから、きっとそう思うのだ。
いけない、また、気弱なコメントを書いてしまった…（爆）。
